介護人材不足は、もはや一時的な採用難ではなく、需要の増加に供給が追いつきにくい構造的な課題として捉える必要があります。厚生労働省の推計では、2022年度時点の介護職員数215万人に対し、2026年度末には約240万人、2040年度末には約272万人が必要とされています。

つまり、2026年度までに2022年度比で約25万人、年平均6.3万人程度の確保が必要という計算です。全体の求人倍率が落ち着いて見える局面でも、介護分野では依然として高い採用競争が続いており、求人を出せば応募が集まる状況ではありません。

本記事では、厚生労働省や介護労働安定センターの公的データをもとに、2026年時点の介護人材不足を「必要数」「求人倍率」「現場の不足感」の3つの視点で整理します。そのうえで、日本人採用、定着施策、DX活用、外国人材の受け入れを含め、介護施設が今後の採用計画を考えるための論点を解説します。

2026年時点の結論:介護人材不足は「一時的な採用難」ではない

2026年時点で押さえるべき結論は、介護人材不足は景気や採用媒体の一時的な不調ではなく、必要な介護サービス量に対して働き手の供給が追いつきにくい「構造的な不足」だという点です。採用担当者は、今年だけ応募が少ないのではなく、今後も継続して人材確保を設計する局面に入っていると見る必要があります。

基礎データになるのは、厚生労働省が2024年7月12日に公表した「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数」です。これは、都道府県が第9期介護保険事業計画の介護サービス見込み量などを踏まえて推計したもので、国全体としてどれだけの介護職員が必要になるかを示しています。

時点介護職員数・必要数2022年度比の見方
2022年度215万人実績の基準値
2026年度末約240万人約25万人の上積みが必要
2040年度末約272万人約57万人の上積みが必要

特に重要なのは、2022年度の215万人から2026年度末の約240万人まで、わずか4年で約25万人を増やす必要があるという時間軸です。年平均では6.3万人程度の確保が必要とされており、これは「2040年に向けた将来課題」であると同時に、2026年時点ですでに毎年かなりの人数を採用・定着させなければならないことを意味します。

一方で、2040年度末に必要とされる約272万人は、2022年度比で約57万人増、年平均では3.2万人程度の確保が必要という推計です。長期的な不足幅は大きいものの、当面の2026年度までに求められる確保ペースの方が急です。現場にとっては「いずれ深刻化する問題」ではなく、すでに採用計画に織り込むべき課題だといえます。

ただし、この推計は全国値であり、各施設の不足人数をそのまま示すものではありません。実際の採用難は、都道府県、サービス種別、夜勤の有無、訪問系か施設系かによって大きく変わります。したがって、まず国の推計で大きな流れを把握し、そのうえで自施設の退職見込み、必要配置、採用可能性に落とし込むことが欠かせません。

採用戦略としても、外国人材の受け入れだけで不足を埋める、あるいは求人広告を増やせば解決する、という単線的な考え方では限界があります。日本人採用、未経験者育成、職員の定着、処遇改善、ICT・DXによる業務負担の軽減などを組み合わせ、継続的に人を確保できる職場づくりとして考えることが、2026年以降の前提になります。

2026年時点の介護人材不足は、2022年度比で約25万人の上積みが求められる構造的課題として捉える必要があります。

介護職員の必要数推計をどう読むか:全国値と現場の採用計画は分けて考える

介護人材不足を考えるうえで、まず押さえたいのが厚生労働省が2024年7月12日に公表した「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数」です。これは国が単独で置いた目標ではなく、都道府県が第9期介護保険事業計画の介護サービス見込み量などを踏まえて推計した数値を集計したものです。

ここで重要なのは、「2026年度に何万人足りないか」という不足人数だけを見るのではなく、2022年度実績からどのくらいの速さで上積みが必要かを見ることです。2022年度の介護職員数は215万人。これに対し、2026年度末には約240万人が必要とされており、わずか4年で約25万人、年平均で6.3万人程度を確保しなければならない計算です。

時点介護職員数・必要数2022年度比見方
2022年度215万人基準実績値
2026年度末約240万人約25万人増年平均6.3万人程度の確保が必要
2040年度末約272万人約57万人増年平均3.2万人程度の確保が必要

2040年度には約272万人が必要とされ、2022年度比で約57万人増という大きな数字が示されています。ただし、採用担当者にとってより重いのは、遠い将来の57万人よりも、当面の2026年度までに年平均6.3万人のペースで増やす必要があるという点です。介護人材不足は「将来いつか深刻化する問題」ではなく、すでに毎年まとまった採用・育成を続けなければ追いつかない局面に入っています。

一方で、この推計はあくまで全国値です。自施設の採用計画にそのまま当てはめると、実態を見誤るおそれがあります。同じ介護分野でも、都道府県によって求人倍率や求職者層は異なりますし、施設系か訪問系か、夜勤があるか、短時間勤務を受け入れやすいかによっても採用難の度合いは変わります。

そのため現場では、国の推計を「市場全体の圧力」として受け止めたうえで、自施設の数字に分解することが大切です。何人を採るかだけでなく、何人が退職する見込みか、未経験者を何人育成できるか、シフトや業務改善で何人分の負担を減らせるかまで見て、年度単位の採用計画に落とし込む必要があります。

国の必要数推計は全国の需給圧力を示す基礎データであり、自施設の採用計画では地域・サービス種別・夜勤有無などに分解して考えることが重要です。

有効求人倍率から見る採用市場:全体が落ち着いても介護は高倍率が続く

採用市場を見るうえでまず確認したいのが、有効求人倍率です。有効求人倍率とは、ハローワークに登録された有効求人数を有効求職者数で割ったもので、1倍を超えると「求職者数より求人が多い」状態を示します。

厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)」によると、2026年5月の全体の有効求人倍率は1.17倍、新規求人倍率は2.11倍、正社員有効求人倍率は0.99倍でした。月間有効求人数は約219.2万人、月間有効求職者数は約202.1万人です。労働市場全体では、求人倍率が極端に上がり続けている局面ではなく、やや落ち着きも見られます。

指標2026年5月の状況
全体の有効求人倍率1.17倍
新規求人倍率2.11倍
正社員有効求人倍率0.99倍
新規求人前年同月比8.9%減
「医療、福祉」の新規求人前年同月比6.3%減

ただし、求人が減っていることを「人手不足が解消した」と読むのは早計です。物価高、人件費上昇、経営環境の悪化により、事業所が「採りたいが、求人を増やしにくい」状態になっている可能性もあります。介護施設でも、必要人数は減っていないのに、紹介手数料や賃上げ原資を考えると求人を絞らざるを得ない、という判断は起こり得ます。

介護分野は、全体平均とは別に見る必要があります。厚生労働省資料では、令和8年2月の介護関係職種の有効求人倍率は全国平均3.96倍、職業計の全国平均は1.13倍と示されています。つまり、全職業では1倍台前半でも、介護では1人の求職者を複数の事業所が取り合う構図が続いています。

さらに重要なのは地域差です。介護関係職種の有効求人倍率は、高い地域では7倍台、低い地域でも2倍台が見られます。全国平均だけを見て採用計画を立てるのではなく、自施設の所在都道府県でどの程度の倍率なのか、近隣の医療・福祉・サービス業・小売・物流などと人材を奪い合っていないかを確認する必要があります。

なお、e-Statなどで職業別データを見る際は、数値の定義にも注意が必要です。「介護関係職種」と「介護サービス職業従事者」は同じ範囲とは限りません。また、「令和7年平均」と「2025年度平均」のように、年平均と年度平均でも集計期間が異なります。採用会議でデータを使う場合は、いつ時点の、どの職業分類の、どの集計期間の数値かをそろえて比較することが大切です。

介護施設の採用担当者にとって、この倍率が示す意味は明確です。求人票を出せば自然に応募が集まる市場ではありません。給与や勤務条件を示すだけでなく、夜勤回数、休暇の取りやすさ、教育体制、ICT活用による負担軽減など、求職者が比較したくなる情報を具体的に出すことが、応募獲得の前提になっています。

離職率は改善しても不足感は強い:採用できる人数の伸びが鈍っている

介護現場の実感を読むうえで中心になるのが、介護労働安定センターの令和6年度「介護労働実態調査」です。これは厚生労働省が同センターに毎年度行わせている調査で、調査時点は原則として2024年10月1日現在です。2026年時点で利用できる全国的な実態調査としてはこの結果が主な根拠になり、令和7年度調査は令和8年7月までに公表予定とされています。

そのため2026年の記事では、2026年5月の職業紹介統計や令和8年度の制度情報と、2024年度時点の介護労働実態調査を組み合わせて見る必要があります。足元の求人倍率だけで「今」を語るのではなく、現場でどれだけ採用でき、どれだけ辞め、どれだけ不足を感じているかを重ねて読むことが重要です。

項目令和6年度調査の結果読み取り方
離職率訪問介護員・介護職員の2職種で12.4%2年連続で低下し、定着面には改善の兆しがあります。
採用率同2職種で14.3%3年ぶりに低下し、採用できる人数の伸びが鈍っています。
従業員の不足感「不足」とする事業所が65.2%前年度の64.7%から上昇し、現場の不足感は弱まっていません。

この結果から見えるのは、2026年の介護人材不足は「辞める人が急に増えている」というより、「必要な人数に対して、採用できる人数が追いついていない」状態だということです。離職率が下がっても、利用者数やサービス需要に応じて必要人員が増えれば、現場の不足感は解消されません。

労働者側の悩み・不安・不満でも、「人手が足りない」が49.1%で最も高く、「仕事内容のわりに賃金が低い」35.3%、「身体的負担が大きい」24.6%が続きます。人手不足は単なる人数の問題にとどまらず、既存職員の業務量や心理的負担を増やし、離職リスクや応募者の敬遠につながる要因になります。

採用担当者にとっては、退職者を補充するだけの採用計画では不十分です。欠員補充に加えて、休暇取得、シフトの柔軟性、身体的負担の軽減、賃金・手当の見せ方まで含めて考える必要があります。採用率が伸びにくい市場では、「辞めにくい職場」と「応募したくなる職場」を同時に作ることが、実質的な人材確保策になります。

採用市場への影響:介護施設は他産業とも人材を奪い合っている

2026年時点の採用市場で押さえたいのは、介護施設の競争相手が「近隣の介護施設」だけではないという点です。有効求人倍率は、求職者1人に対して求人が何件あるかを示す指標ですが、厚生労働省の一般職業紹介状況では、2026年5月の全体の有効求人倍率は1.17倍でした。

一方、介護分野は高倍率が続いています。厚生労働省資料では、令和8年2月の介護関係職種の有効求人倍率は全国平均3.96倍、職業計は1.13倍と示されています。集計時点や職業分類により数値は変わりますが、介護関係職種がおおむね4倍前後で推移していることは、採用担当者が前提にすべき現実です。

比較項目直近データの見方採用への影響
全職業平均2026年5月は1.17倍市場全体はやや落ち着いて見える
介護関係職種令和8年2月は3.96倍応募獲得の難しさは依然として強い
競合先医療、福祉、サービス業、物流、小売など同業比較だけでは条件設計が不十分

求職者は、介護の仕事だけを見て応募先を決めているわけではありません。賃金、勤務時間、夜勤の有無や回数、休日、身体的負担、職場環境を、医療・福祉の周辺職種や、サービス業、物流、小売などの求人と横並びで比較しています。

その意味で、賃金差は重要な論点です。厚生労働省が令和7年賃金構造基本統計調査を基に示した賞与込み給与では、介護職員は31.4万円、全産業平均は39.6万円で、月額約8万円の差があります。処遇改善が進んでも、他産業と比べた応募上の不利が残っていると考えるべきです。

令和8年度の介護職員等処遇改善加算は、制度の算定要件を細かく説明するよりも、採用実務では「賃上げ原資をどう確保し、どう職員に還元するか」を伝える材料として捉えることが大切です。加算の取得状況、手当や基本給への反映方針、キャリアパスとの関係は、求人票や採用ページで明示したい項目です。

採用広報では、給与額だけを大きく見せても十分ではありません。夜勤回数、平均残業時間、休暇取得のしやすさ、資格取得支援、処遇改善加算の配分、ICT導入による記録業務や夜勤負担の軽減、人間関係、教育体制まで具体的に示す必要があります。

「求人を出せば応募が来る」市場ではないからこそ、求職者が不安に感じる条件を先回りして開示することが、応募数だけでなく入職後のミスマッチ防止にもつながります。介護施設の採用戦略は、同業他社対策ではなく、地域の労働市場全体を見た条件設計へ移っているのです。

介護施設が考えるべき採用戦略:短期施策と中長期施策を分ける

介護施設の採用戦略は、「今すぐ応募を増やす施策」と「辞めにくく、育てられる職場を作る施策」を分けて考える必要があります。人材不足が構造的に続くなかでは、求人媒体を増やすだけでは限界があり、採用・定着・業務改善を一体で設計することが重要です。

時間軸主な施策見るべきポイント
短期求人票改善、条件明示、即時対応、公的機関連携、リファラル採用応募前の不安を減らし、選考離脱を防ぐ
中長期処遇改善、キャリアパス、休暇・シフト柔軟性、育成、DX、外国人材受け入れ体制働き続けられる職場として選ばれる

短期施策では、まず求人票の見直しが基本です。給与額だけでなく、夜勤回数、各種手当、残業の有無、シフト条件、資格取得支援、処遇改善加算の還元方針を具体的に示すことで、求職者が比較しやすくなります。応募後は面接日程の即時調整など、対応スピードも重要です。

公的機関との連携も見逃せません。令和6年度介護労働実態調査では、「ハローワークや福祉人材センターの担当者に相談」を実施している事業所は66.9%で、そのうち40.1%が採用に効果があったとしています。紹介会社や求人媒体だけに依存せず、地域の求職者接点を増やす視点が必要です。

あわせて、職員から友人・知人を紹介してもらうリファラル採用も有効です。同調査では、実施事業所が65.6%、そのうち46.0%が採用に効果があったと回答しています。ただし、制度を置くだけではなく、紹介したくなる職場づくり、紹介後のフォロー、謝礼や評価の透明性まで整えることが大切です。

中長期では、採用できる職場ではなく「定着する職場」への転換が焦点になります。採用・職場定着・離職防止策として実施率が高いのは、「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」74.7%、「人間関係が良好な職場づくり」72.0%です。採用広報でも、休みやすさや人間関係を具体的に伝える必要があります。

効果面では、採用に効果があった施策は「賃金水準の向上」36.0%が最も高く、定着に効果があった施策は「休暇取得や勤務日時変更をしやすい職場づくり」34.4%が最も高くなっています。処遇改善加算は、賃上げ原資として活用するだけでなく、手当・昇給・キャリアパスにどう反映するかを明示することが求められます。

人材の母集団を広げるには、介護未経験者、シニア、子育て中の人、短時間勤務希望者を受け入れる設計も欠かせません。厚生労働省が推進する「介護に関する入門的研修」を活用し、自治体、福祉人材センター、ハローワークと連携して、研修から職場体験、採用へつなげる導線を作ることが現実的です。

DX・ICTや外国人材も、単独の解決策ではなく、職場を支える選択肢の一つです。記録業務の効率化や情報共有は既存職員の負担軽減につながります。外国人材を受け入れる場合も、日本語教育、生活支援、住居、現場メンターなどを整え、支援できる人数から逆算して計画することが重要です。

DX・外国人材をどう位置付けるか:採用人数を増やすだけでなく、支えられる職場を作る

介護人材不足への対応として、DX・ICT活用と外国人材の受け入れは重要な選択肢です。ただし、どちらも「入れればすぐ解決する」万能薬ではありません。DXは採用人数を直接増やす施策というより、既存職員の負担を減らし、定着しやすい職場を作るための基盤です。外国人材も、人員補充だけでなく、受け入れ後に働き続けられる体制づくりまで含めて考える必要があります。

令和6年度介護労働実態調査では、ICT機器等・介護ロボットの導入効果として、「昼間の業務負担の軽減」に効果ありと答えた事業所が49.4%、「夜間の業務負担の軽減」が44.6%でした。約半数の事業所が、何らかの負担軽減を実感していることになります。

取り組み調査で見える状況採用・定着への意味
ICT機器等の活用利用者情報の入力・保存・転記機能を日常的に利用している割合は75.4%記録業務を効率化し、情報共有を標準化しやすい
介護ロボット・センサー等昼間・夜間の業務負担軽減で効果を感じる事業所が約半数夜勤負担や見守り負担の軽減につながる
外国人材の受け入れ受け入れ事業所は15.8%、未受け入れは78.8%拡大傾向だが、まだ多数派ではない

採用広報では、単に「ICT導入済み」と書くだけでは伝わりません。記録時間を減らす仕組みがあるのか、夜勤時の見守りをどう支えているのか、申し送りや利用者情報の共有が属人化していないかを具体的に示すことで、求職者に「働きやすさ」として伝わります。DXは機器導入ではなく、職員の疲弊を防ぐ職場設計として見せることが大切です。

外国人材については、同調査で受け入れ事業所が前年度から2.4ポイント上昇しており、活用は少しずつ広がっています。一方で、未受け入れの事業所が78.8%を占めるため、介護業界全体の不足を外国人採用だけで埋める発想は現実的ではありません。日本人採用、未経験者育成、定着施策、DXと並ぶ人材確保策の一つとして位置付けるべきです。

受け入れ課題としては、「利用者や他の従業員との意思疎通が難しい」36.5%、「住宅や寮などの確保が困難」23.6%、「仕事上のサポート役の負担が大きい」22.4%が挙がっています。これは、採用前の在留資格確認や面接だけでなく、採用後の日本語教育、生活支援、住居支援、現場メンターの配置まで設計しなければ定着につながりにくいことを示しています。

特に注意したいのは、外国人職員を支える役割が一部の既存職員に集中することです。現場メンターを置く場合も、業務時間内で教える余裕を作る、相談窓口を分ける、支援記録を共有するなど、支える側の負担軽減まで組み込む必要があります。DXと外国人材は別々の施策ではなく、「少ない人数でも無理なく働ける職場」「新しく入った人を孤立させない職場」を作るために組み合わせて考えることが、2026年以降の採用戦略では重要です。

まとめ:介護人材不足はデータで把握し、施設ごとの採用計画に落とし込む

2026年時点の介護人材不足は、単なる景気変動による採用難ではなく、介護サービス需要の増加に伴う構造的な課題です。厚生労働省の推計では、2022年度時点の介護職員数215万人に対し、2026年度末には約240万人、2040年度末には約272万人が必要とされています。まずは「この先も必要人数が増える」という前提で、採用計画を組み直す必要があります。

ただし、介護人材不足を読むときは、1つの数字だけで判断しないことが重要です。必要数、求人倍率、現場の不足感は、それぞれ見ている対象が異なります。

見るべき層示しているもの採用計画での使い方
必要数全国でどれだけ介護職員が必要か中長期の人員確保目標を考える
求人倍率求職者に対して求人がどれだけ多いか地域の採用難易度を把握する
現場の不足感事業所が実感している人手不足の強さ離職防止や業務改善の優先度を決める

たとえば、全体の有効求人倍率が落ち着いて見えても、介護関係職種は高倍率が続いています。また、令和6年度介護労働実態調査では、離職率は12.4%と低下した一方、採用率は14.3%に低下し、従業員が不足している事業所は65.2%に上りました。つまり「辞める人を減らす」だけでは、増え続ける必要人数に追いつきにくい状況です。

施設ごとの採用計画では、単に「来年度は何人採るか」だけでなく、次のように分解して考えることが現実的です。

  • 何人辞める見込みか
  • 何人を未経験から育成できるか
  • 何人分をICT・業務改善で補えるか
  • 外国人材を受け入れる場合、何人まで教育・生活支援が可能か

外国人採用は有力な選択肢の一つですが、唯一の解決策ではありません。令和6年度調査でも、外国籍労働者を受け入れている事業所は15.8%であり、多くの施設ではまだ体制づくりの途中です。受け入れる場合も、日本語教育、住居支援、現場メンター、既存職員の負担軽減まで含めて設計しなければ、定着にはつながりにくくなります。

これからの介護施設に求められるのは、日本人採用、未経験者育成、処遇改善、休みやすい職場づくり、DXによる業務負担の軽減、外国人材の受け入れを組み合わせる発想です。全国データを出発点にしながら、自施設の地域、サービス種別、夜勤の有無、職員体制に合わせて、実行可能な人材確保策へ落とし込むことが大切です。