2026年10月1日から、在留資格の変更、在留期間の更新、永住許可に係る在留許可手数料が改定されます。これまで一律だった部分が、許可される在留期間に応じた手数料体系に変わるため、外国人雇用を行う企業では費用管理への影響が出ます。
特にオンライン申請では、収入印紙ではなくコンビニ決済または銀行決済で支払う方式に変わります。クレジットカード決済やQRコード決済は利用できず、申請ごとに個別の決済メールを確認して支払う必要があります。
本記事では、期間別の支払額、9月30日までの申請と10月1日以降の申請の違い、支払いの流れ、企業担当者が注意すべき実務ポイントを、出入国在留管理庁の公表情報に基づいて整理します。
まず押さえる3つの変更点
2026年10月1日から改正政令が施行され、在留資格変更許可・在留期間更新許可・永住許可に係る在留許可手数料が改定されました。在留許可手数料とは、申請が許可された後、在留カード等の交付を受ける際に納める手数料のことです。
今回のポイントは、大きく3つあります。第一に、対象となる手続きの手数料額が見直されたこと。第二に、許可される在留期間に応じて手数料が変わる仕組みになったこと。第三に、オンライン申請の納付方法が収入印紙からコンビニ決済または銀行決済へ変わったことです。
| 変更点 | 企業担当者が見るべきこと |
|---|---|
| 手数料の改定 | 在留資格変更、在留期間更新、永住許可の対象者を確認する |
| 在留期間別の手数料 | 人数だけでなく、見込まれる許可期間ごとに費用を試算する |
| オンライン決済化 | 決済メールの受信・確認・支払管理の担当を決める |
特に注意したいのは、単純に「更新者が何人いるか」だけでは予算を立てにくくなる点です。たとえば同じ在留期間更新でも、許可される期間によって支払額が異なります。特定技能外国人を複数受け入れている企業では、在留期限一覧に加えて、過去の許可期間や今後見込まれる更新時期を整理しておくと実務が進めやすくなります。
また、オンライン申請では、2026年10月1日以降の申請分について収入印紙では納付できません。支払いはコンビニ決済または銀行決済で行いますが、クレジットカード決済やQRコード決済には対応していません。社内で立替精算や支払承認のルールがある場合は、従来の「印紙を購入する」運用から見直す必要があります。
企業がまず行うべきことは、外国人従業員の在留期限を確認し、10月1日前後に申請する案件の受付日を把握すること、そのうえで、対象者ごとの費用試算、支払い方法案内付きメールを受け取るメールアドレスの管理、支払期限までに処理する社内フローを整えておきましょう。
新旧の手数料早見表:期間別の支払額を確認
2026年10月1日以降に受付されたオンライン申請では、在留資格変更許可・在留期間更新許可の手数料が、許可される在留期間ごとに変わります。改定前はいずれも5,500円でしたが、改定後は手数料に決済手数料を加えた「支払額合計」を支払います。
| 許可期間 | 改定前の手数料 | 改定後の手数料 | 決済手数料 | 支払額合計 |
|---|---|---|---|---|
| 3月以下 | 5,500円 | 10,000円 | 330円 | 10,330円 |
| 3月超6月以下 | 5,500円 | 15,000円 | 330円 | 15,330円 |
| 6月超1年未満 | 5,500円 | 21,000円 | 330円 | 21,330円 |
| 1年 | 5,500円 | 27,000円 | 330円 | 27,330円 |
| 1年超3年未満 | 5,500円 | 42,000円 | 330円 | 42,330円 |
| 3年以上5年未満 | 5,500円 | 56,000円 | 550円 | 56,550円 |
| 5年以上 | 5,500円 | 65,000円 | 550円 | 65,550円 |
決済手数料は税込みで、コンビニ決済・銀行決済のどちらを選んでも同額です。3年以上5年未満、5年以上は550円、それ以外の期間は330円です。企業で更新費用を管理する場合は、人数だけでなく、実際に許可された在留期間ごとに費用を分けて確認する必要があります。
なお、再入国許可と就労資格証明書の交付は、手数料そのものは据え置きです。ただしオンライン申請では決済手数料220円が加わるため、再入国許可(1回限り)は3,720円、再入国許可(数次)は6,720円、就労資格証明書の交付は1,820円となります。
ここで示した金額は、2026年10月1日以降に受付されたオンライン申請分の金額です。9月30日までに受付された申請や、窓口申請の納付方法とは扱いが異なるため、費用試算では「受付日」と「申請方法」を分けて見ることが大切です。
9月30日までの申請と10月1日以降の申請の違い
今回の改定で企業担当者がもっとも混同しやすいのは、「いつ許可されたか」ではなく「いつ受付されたか」で手数料が決まる点です。新しい手数料は、2026年10月1日以降に受付された申請に適用されます。許可日や在留カード等の交付日が基準ではありません。
たとえば、2026年9月30日までに受付された在留期間更新許可申請は、審査の結果として許可や交付が10月1日以降になった場合でも、改定前の手数料が適用されます。この場合の納付方法も、従来どおり収入印紙です。
| 申請の受付日 | 適用される手数料 | 納付方法 |
|---|---|---|
| 2026年9月30日まで | 改定前の手数料 | 収入印紙 |
| 2026年10月1日以降 | 改定後の手数料 | オンライン申請はコンビニ決済または銀行決済 |
オンライン申請の場合、受付日は「申請受付仮番号」または「申請受付番号」のお知らせメールで確認できます。社内で「申請したつもりの日」や「許可が出た日」だけを見て判断すると、旧手数料・新手数料の判定を誤るおそれがあります。
特に9月末前後は、更新対象者が複数いる企業ほど管理が煩雑になりやすい時期です。人事・労務担当者や申請取次の担当者は、対象者ごとに「申請日」「受付日」「許可日」を分けて台帳に記録し、受付番号に関するメールを削除せず保存しておくと安心です。
また、更新費用を会社負担としている場合は、受付日によって予算計上する金額が変わります。9月中に準備を進めていても、実際の受付が10月1日以降であれば改定後の手数料になります。月末にまとめて申請する運用をしている企業は、受付状況をメールで確認しながら、対象者ごとの費用見込みを更新していきましょう。
オンライン申請の支払いの流れと利用できる決済方法
2026年10月1日以降にオンラインで申請したすべての在留諸申請では、手数料の納付方法が変わります。従来のように収入印紙を用意するのではなく、案内メールに従ってコンビニ決済または銀行決済で支払う方式です。クレジットカード決済やQRコード決済には対応していません。
支払いは、審査が終わった後に送られるメールを起点に進みます。企業の担当者が複数名分を管理する場合は、どの申請のメールなのかを取り違えないよう、申請受付番号や対象者名とひも付けて管理しておくと安心です。
- 在留申請オンラインシステムから審査完了メールが届きます。
- 後日、利用者登録時のメールアドレスに、決済リンク付きの案内メールが届きます。
- 案内に従い、コンビニまたは銀行で手数料を支払います。
- 支払いが完了したときに、それぞれメールが届きます。
支払うべき金額は、決済リンク付きの案内メールに記載されます。改定後は在留期間に応じて手数料が異なるため、社内の見込み額だけで処理せず、最終的には届いた案内メールの金額を確認して支払うことが重要です。
| 支払方法 | 利用時の注意点 |
|---|---|
| コンビニ決済 | 一部のコンビニは対応していません。実際に選べる支払先は、案内メールや決済画面で確認します。 |
| 銀行決済 | ペイジーの収納番号を使ったATM等での支払い、またはインターネットバンキングで支払います。銀行窓口では支払えません。 |
銀行決済で使う「ペイジー」は、税金や各種料金をATMやインターネットバンキングで支払うための仕組みです。窓口で職員に現金を渡して支払う方法ではないため、経理担当者に依頼する場合も、事前に支払手段を共有しておきましょう。
また、納入通知書が紙で届くことはありません。紙の書類を待っていると支払いが遅れるおそれがあるため、オンライン申請では「メールを確認して支払う」運用に切り替える必要があります。受信漏れを防ぐため、担当者不在時の確認体制も決めておくと実務上スムーズです。
詐欺メール対策と、企業が整えるべき実務ルール
2026年10月1日以降のオンライン申請では、手数料の支払い案内がメールで届く運用になります。便利になる一方で、支払いを装った不審メールと見分けるため、企業側で「どのメールを正規として扱うか」を事前に決めておくことが重要です。
| メールの種類 | 正規の送信元 |
|---|---|
| 決済リンク付きメール | @service-dgft.com |
| 支払方法選択・支払完了メール | @veritrans.jp |
公式に案内されている正規の送信元は上記の2つです。これ以外のアドレスから手数料の支払いを求めるメールが届いた場合は、詐欺の可能性があります。リンクを開いたり、支払ったりせず、社内の申請担当者や必要に応じて管轄窓口に確認する運用にしておきましょう。
また、正規メールが迷惑メールに振り分けられると、支払いの遅れにつながります。人事・労務部門、申請取次担当者、情報システム部門で連携し、@service-dgft.com と @veritrans.jp を受信許可に入れておくと安心です。
実務面では、複数名分を扱う企業ほど「個別管理」が必要になります。申請取次で複数の申請をしていても、手数料のまとめ払いはできません。申請ごとに決済メールが届き、金額の変更もできないため、対象者名、申請受付番号、支払期限、支払状況を一覧で管理する体制を整えましょう。
- 支払いは、在留カード等を受け取る前日までに済ませる
- 支払いを証明する画面の提示は原則不要
- ただし確認を求められる場合があるため、決済完了メールは在留カード等を受け取るまで削除せず保管する
支払い方法の切り替えは、オンライン申請に関する変更です。窓口申請の場合は、2026年10月1日以降もこれまでどおり収入印紙で納付し、キャッシュレス決済は利用できません。オンライン申請と窓口申請が混在する企業では、申請方法ごとに支払い手順を分けて案内する必要があります。
なお、オンライン申請は手数料の減額措置に対応していません。減額対象となる資料を提出する場合は、窓口で申請する必要があります。
費用試算例:特定技能外国人10名を1年で更新する場合
ここでは、特定技能(人手不足分野で一定の技能を持つ外国人が働くための在留資格)の外国人10名が、在留期間「1年」でオンライン更新するケースを例に、改定前後の費用差を見てみます。あくまで公表されている手数料額と決済手数料だけを使った単純比較です。
| 区分 | 1名あたりの支払額 | 人数 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 改定前 | 5,500円 | 10名 | 55,000円 |
| 改定後 | 27,330円 | 10名 | 273,300円 |
改定前は、在留期間更新許可のオンライン申請手数料が1名あたり5,500円のため、10名分では5,500円×10名=55,000円です。一方、2026年10月1日以降に受付されたオンライン申請で、許可期間が「1年」の場合は、支払額合計が1名あたり27,330円となります。
したがって、改定後の合計は27,330円×10名=273,300円です。改定前との差額は、273,300円−55,000円=218,300円となり、このケースでは同じ10名の更新でも218,300円の負担増として見込む必要があります。
ただし、実務では全員が同じ在留期間で許可されるとは限りません。実際の支払額は、許可される在留期間、申請人数、そして2026年10月1日以降に「受付」された申請かどうかによって変わります。試算時は、必ず最新の公表情報と各申請の受付状況を確認してください。
企業が更新費用を負担している場合は、在留期限管理と費用管理を切り離さずに考えることが重要です。更新予定者ごとに、在留期限、申請予定時期、見込まれる許可期間、想定支払額を整理しておくと、年度予算への反映や社内承認の準備が進めやすくなります。
まとめ
2026年10月1日以降、在留期間更新許可や在留資格変更許可などの在留許可手数料は、許可される在留期間に応じた体系に変わります。オンライン申請では収入印紙ではなく、コンビニ決済または銀行決済で支払う方式となるため、従来の更新実務とは支払い管理の考え方が変わります。
特に重要なのは、改定後の手数料が適用されるかどうかは「許可日」ではなく「受付日」で決まる点です。2026年9月30日までに受付された申請は、許可が10月1日以降になっても旧手数料を収入印紙で納付します。オンライン申請では、「申請受付仮番号」または「申請受付番号」のお知らせメールで受付日を確認しておきましょう。
企業担当者は、制度変更を単なる金額改定としてではなく、在留管理の運用変更として捉える必要があります。実務では、次の点を社内ルールに落とし込んでおくと安心です。
- 外国人従業員ごとの在留期限と更新予定時期を確認する
- 受付日を基準に、旧手数料・新手数料のどちらが適用されるか確認する
- 許可期間ごとの支払額をもとに、年間の更新費用を試算する
- 申請ごとの決済メールを保管し、まとめ払い不可に対応する
- 在留カード等を受け取る前日までに支払いを完了する
- 正規の送信元以外から届く支払い案内メールを開かないよう周知する
いろはなでは、外国人従業員の在留期限確認、更新対象者の洗い出し、申請スケジュールの整理、改定後の手数料を踏まえた費用試算を支援できます。あわせて、オンライン申請で届く決済メールの管理方法や、担当者間での確認フローづくりなど、実務に即した運用ルールの整備もサポートします。
在留期間更新は、期限管理・費用管理・支払い管理が重なる業務です。今回の改定を機に、属人的な管理から、誰が見ても状況を把握できる仕組みへ見直しておくことが、申請漏れや支払い遅れの予防につながります。