2026年10月19日、「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」の第15回が開催されました。出入国在留管理庁が公表した配布資料では、分野別運用方針の改正案、外食業分野の受入停止措置への対応、介護分野における受入れ見込数の配分変更などが示されています。

今回のポイントは、単に受入れ人数を増やすという話ではなく、分野ごとの上限をどのように運用し、特定技能1号と育成就労の間でどのように配分を調整するかという点にあります。特に介護では、分野全体の受入れ見込数160,700人を維持したまま、特定技能1号へ20,000人分を振り替える案が示されました。

なお、2026年10月20日時点で確認できる内容は主に配布資料ベースです。議事録・議事要旨が未公表のため、委員ごとの発言や会議としての最終的な結論は、今後の公表情報を確認する必要があります。

出典: https://www.moj.go.jp/isa/03_00204.html

第15回有識者会議で何が議論されたのか

2026年10月19日(月)、「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」の第15回会議が開催されました。出入国在留管理庁は同日、会議の配布資料として6本の資料を公表しています。

今回の会議は、2027年4月1日に本格施行される育成就労制度を前に、特定技能制度との接続や、分野ごとの受入れ上限の運用を具体化していく局面に位置づけられます。分野別運用方針とは、介護、外食業、建設など各分野ごとに、対象業務や受入れ見込数などを定める運用ルールのことです。

主な論点配布資料から読み取れる内容
分野別運用方針の改正案介護、工業製品製造業、建設、航空、漁業、飲食料品製造業、外食業の7分野で、対象業務や業務区分の見直しが示されました。
外食業分野の受入停止措置特定技能1号の受入れ見込数に近づいたことを受けた一時的な交付停止措置について、背景や対応方針が整理されています。
介護分野の配分変更分野全体の受入れ見込数は160,700人のまま維持しつつ、特定技能1号へ20,000人分を振り替える案が示されました。

特に注目されるのは、介護分野の扱いです。資料では、特定技能1号の受入れ見込数を126,900人から146,900人へ増やし、育成就労の受入れ見込数を33,800人から13,800人へ減らす案が示されています。つまり、総枠を広げるのではなく、同じ分野内で特定技能1号と育成就労の配分を調整する考え方です。

一方、外食業分野では、すでに2026年4月13日以降、在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置が取られています。第15回会議では、この受入停止措置に関する指摘への回答や、医療・福祉施設給食業等を飲食料品製造業分野で緊急的に受け入れる案も示されました。

ただし、現時点で確認できる内容は、主に出入国在留管理庁が公表した配布資料ベースです。議事録や議事要旨が未公表の場合、個別委員がどのような発言をしたのか、会議として最終的にどこまで了承されたのかは断定できません。実務上は、今後公表される議事録や正式な改正内容を確認しながら、採用計画や受入れ予定を見直す必要があります。

第15回会議の焦点は、育成就労施行前に分野別上限をどう運用し、特定技能1号との配分をどう調整するかにあります。

有識者会議の位置づけと、育成就労施行前に議論が進む背景

2026年10月19日に開かれた第15回有識者会議は、制度の方向性を確認するための単なる意見交換ではなく、育成就労制度の施行を前に、具体的な運用設計を詰める場として位置づけられます。出入国在留管理庁は同回の配布資料を公表しており、分野別運用方針案や受入れ見込数、いわゆる分野別上限の取り扱いが主要な論点になりました。

この会議の正式名称は「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」です。改正後の入管法および育成就労法に基づき、特定技能制度と育成就労制度について、基本方針や分野別運用方針案に有識者の意見を反映させるために設けられました。開催は、2024年12月17日に「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」の下で決定されています。

項目位置づけ
会議の目的特定技能・育成就労の基本方針と分野別運用方針案について、有識者の意見を聴取すること
設置の経緯2024年12月17日に、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の下で開催が決定
今回の局面2027年4月1日の育成就労制度施行を前に、分野別運用方針や受入れ上限の設計を具体化する段階

育成就労制度は、従来の技能実習制度を発展的に解消し、人手不足分野での人材育成と人材確保を目的とする新制度です。制度の本格施行は2027年4月1日とされており、施行後すぐに現場が混乱しないよう、対象分野、業務区分、受入れ見込数、上限に達した場合の対応などを事前に整理しておく必要があります。

第15回で分野別上限が議論された背景には、特定技能と育成就労を別々の制度としてではなく、連続した人材受入れの仕組みとして設計する必要があることがあります。特定技能1号の在留者数が想定を上回る分野がある一方、育成就労側の枠に余裕が見込まれる分野もあり、制度全体としてどのように配分するかが問われています。

なお、2026年10月20日時点で確認できる内容は、主に出入国在留管理庁が公表した配布資料に基づくものです。議事録や議事要旨が未公表の場合、個別委員の発言や会議としての最終的な整理は、今後の公表資料で確認する必要があります。

第15回有識者会議は、2027年4月1日の育成就労制度施行に向けて、分野別運用方針と受入れ上限の具体設計を詰める場として重要です。

介護は総枠維持で、特定技能1号へ2万人分を振替

第15回有識者会議で示された分野別上限の論点のうち、最も実務への影響が大きいのが介護分野の配分変更案です。ポイントは、介護分野全体の5年間受入れ見込数160,700人は増やさず、制度間の内訳だけを組み替えるという点にあります。

具体的には、特定技能1号の受入れ見込数を126,900人から146,900人へ20,000人増やす一方、育成就労の受入れ見込数を33,800人から13,800人へ20,000人減らす案です。適用対象は、令和9年度・令和10年度とされています。

区分現行の受入れ見込数変更案増減
特定技能1号126,900人146,900人+20,000人
育成就労33,800人13,800人-20,000人
介護分野全体160,700人160,700人増減なし

背景には、介護分野における特定技能1号の在留者数が、当初の想定を上回るペースで推移していることがあります。資料では、このまま推移すると令和9年度後半に特定技能1号の上限を超過するおそれがあると整理されています。

一方で、育成就労については、技能実習「介護」の受入れ実績などを踏まえると、当初設定した枠に一定の余裕があると判断された形です。つまり、介護人材の受入れニーズそのものを新たに積み増すというより、実際の流れに合わせて特定技能1号側へ枠を寄せる調整といえます。

この整理は、今後の上限運用を考えるうえでも重要です。受入れ見込数は原則として5年ごとに設定され、大きな経済情勢の変化などがある場合に見直すものとされています。ただし、今回の資料では、受入れ需要が著しく高いなど相当の必要性があり、外国人本人や関係者に著しい不利益が生じない場合には、分野全体の上限を維持したまま内訳変更を行う余地が示されました。

介護事業者にとっては、「介護分野全体の枠が増えた」と受け止めるのではなく、特定技能1号での採用・移行を見込む計画に一定の追い風が生じる可能性がある、という理解が現実的です。ただし、2026年10月20日時点で確認できる内容は主に配布資料ベースであり、最終的な運用や委員の意見の詳細は、議事録・議事要旨の公表後に確認する必要があります。

分野別上限は“総量拡大”より“配分調整”へ

今回の第15回有識者会議資料で注目したいのは、分野別上限の考え方が、単純な「枠の積み増し」ではなく、制度間・分野内の配分をどう調整するかに移っている点です。ここでいう受入れ見込数とは、特定技能や育成就労で各分野が受け入れる人数の目安であり、実務上は上限管理の基礎になります。

受入れ見込数は、原則として5年ごとに設定され、大きな経済情勢の変化などがある場合に見直すものとされています。つまり、需要が高いからといって、その都度すぐに分野全体の上限を拡大する設計ではありません。人手不足への対応と、制度の安定運用を両立させるため、一定期間ごとの計画性が重視されています。

一方で、今回の資料では、受入れ需要が著しく高いなど相当の必要性があり、外国人本人や受入れ企業など関係者に著しい不利益が生じない場合には、分野全体の上限を維持したまま、内訳を変更する余地が示されました。これは、総枠を広げる前に、既存の枠の中でどこに人数を配分するのが妥当かを検討する考え方です。

項目変更前変更案
介護分野全体160,700人160,700人で維持
特定技能1号126,900人146,900人
育成就労33,800人13,800人

介護分野の案は、その象徴といえます。特定技能1号の在留者数が想定を上回って推移し、令和9年度後半に上限超過が懸念される一方、育成就労については受入れ枠に余裕があると見込まれました。そこで、分野全体の160,700人は維持したまま、育成就労から特定技能1号へ20,000人分を振り替える整理が示されています。

企業側から見ると、今後は「分野全体の上限が増えるか」だけでなく、「特定技能1号と育成就労のどちらに枠が配分されるか」を確認する必要があります。採用計画を立てる際も、候補者の在留資格、移行時期、申請タイミングを、最新の分野別運用方針とあわせて点検することが重要です。

外食業の受入停止措置と、施設給食への緊急的対応

外食業分野では、特定技能1号の受入れ見込数、つまり制度上の受入れ上限に近づいたことを受け、2026年4月13日以降、在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置が取られています。在留資格認定証明書は、海外から外国人材を呼び寄せる際などに必要となる重要な手続きであり、新規採用計画に直接影響します。

出入国在留管理庁が2026年3月27日時点で示した情報では、外食業分野の特定技能1号在留者数は、同年2月末現在で約46,000人でした。その時点で、同年5月頃には受入れ見込数の上限に達する見込みとされており、今回の停止措置は、上限管理の仕組みに沿った対応といえます。

時点・項目示された内容
2026年2月末現在外食業分野の特定技能1号在留者数は約46,000人
2026年3月27日時点の見通し同年5月頃に受入れ見込数の上限に達する見込み
2026年4月13日以降在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置

第15回有識者会議の資料では、外食業分野について、令和7年の市場規模が26.3兆円、総就業者が455.2万人、生産性が578億円/万人であったことなどが示されました。資料上は、生産性向上は進んだ一方で、国内人材の確保が想定を下回り、特定技能外国人の受入れが想定を上回った、という分析が整理されています。

ここで注目されるのが、医療・福祉施設給食業等への対応です。外食業分野で新規受入れが停止された後も、病院、福祉施設、学校などでの給食提供は公共サービスとして維持する必要があります。そのため、2027年度からの緊急的措置として、これらの施設給食業を飲食料品製造業分野で受け入れる案が示されました。

対象として整理されているのは、学校教育、医療業、社会保険・社会福祉・介護事業を営む事業所における施設給食業です。日本標準産業分類では、中分類81、82、83、85の事業所で、小分類773「施設給食業」を営む場合が想定されています。単に外食業の枠を広げるのではなく、公共性の高い給食提供に限って、別分野で緊急的に受け止める設計です。

実務上は、外食業として採用できるか、飲食料品製造業分野の対象に該当するかで、申請可否や準備書類の確認ポイントが変わります。特に施設給食を担う事業者は、自社の事業所が対象分類に該当するか、最新の公表情報を確認したうえで採用計画を見直す必要があります。

7分野で示された業務区分・対象業務の見直し

第15回有識者会議では、分野別運用方針、つまり分野ごとに対象業務や受入れ見込数を定める方針の改正案として、介護、工業製品製造業、建設、航空、漁業、飲食料品製造業、外食業の7分野が示されました。単に人数枠だけでなく、どの業務を制度の対象に含めるかを調整する議論です。

分野資料上の5年間受入れ見込数主な見直し内容
介護160,700人分野全体の総枠は維持しつつ、特定技能1号と育成就労の内訳を調整
工業製品製造業319,200人板ガラス加工・ガラス溶融成形の業務区分追加、航空機部品組立て・真空成形・手袋製造などの業務追加
建設199,500人エクステリア施工・ブロック建築の主たる技能追加、除雪作業の関連業務化
航空4,900人育成就労産業分野として設定し、空港グランドハンドリングの業務区分を新設
漁業17,400人水産物産地卸売市場業の業務区分追加

特に工業製品製造業は、追加候補が比較的多く示されています。業務区分とは、外国人材を受け入れられる仕事のまとまりを指します。ここに新たな作業が加われば、これまで対象外だった工程でも、要件を満たすことで育成就労や特定技能の活用余地が広がる可能性があります。

航空分野では、育成就労の対象産業分野として位置付けたうえで、空港グランドハンドリングの業務区分を新設する案が示されました。空港の地上支援業務は人手不足感が強い領域の一つであり、育成就労から特定技能への接続を見据えた制度設計が意識されているといえます。

このほか、飲食料品製造業では豆腐製造の主たる技能追加や塩製造業の産業分類追加が検討対象に挙がりました。外食業も改正案の対象分野に含まれていますが、外食業は受入れ上限に近づいたことによる停止措置との関係もあり、対象業務の見直しだけでなく、隣接分野との整理を含めて確認が必要です。

なお、2026年10月20日時点で確認できる内容は、出入国在留管理庁が公表した配布資料ベースです。実務上は、会議での最終的な整理や告示改正の内容を待ったうえで、自社の業務がどの区分に該当するのかを確認することが重要です。

実務への影響:採用計画は上限運用を前提に見直す必要がある

第15回有識者会議の資料から見える実務上のポイントは、分野別の受入れ上限が「制度上の目安」ではなく、採用スケジュールや在留資格手続きに直接影響する運用として扱われる点です。受入れ企業、登録支援機関、今後の監理支援機関は、採用人数だけでなく、どの分野・どの制度で受け入れるのかを早い段階で確認する必要があります。

受入れ上限の運用では、1号特定技能外国人または育成就労外国人の在留者数が、それぞれ設定された受入れ見込数を超えることが見込まれる場合に、手続きが一時的に止まる仕組みが示されています。ここでいう受入れ見込数は、分野ごとに設定される一定期間の受入れ枠です。

制度上限接近時に想定される措置実務上の注意点
特定技能1号在留資格認定証明書の一時的な交付停止海外からの新規招へいでは、内定後でも入国時期が読みにくくなる可能性があります。
育成就労育成就労計画の一時的な認定停止制度開始後は、計画認定を前提にした採用・育成スケジュールの見直しが必要です。

外食業の事例は、この影響を具体的に示しています。同分野では、特定技能1号の受入れ見込数に近づいたことを受け、2026年4月13日以降、在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置が取られています。2026年3月27日時点の公表では、同年2月末現在の在留者数が約46,000人で、5月頃に上限到達が見込まれるとされていました。

つまり、求人票を出し、面接を終え、本人が要件を満たしていても、分野全体の上限運用によって手続きが進まない場面があり得ます。登録支援機関にとっても、支援計画や入国後支援だけでなく、分野別運用方針の変更、受入停止措置、対象業務の見直しを継続的に追うことが重要になります。

介護分野では、分野全体の受入れ見込数160,700人は維持しつつ、特定技能1号を126,900人から146,900人へ増やし、育成就労を33,800人から13,800人へ減らす案が示されています。総枠が増えるのではなく、制度間で20,000人分を振り替える整理です。

そのため介護事業者は、「育成就労で育てる」のか、「特定技能1号で即戦力に近い人材を受け入れる」のかを、従来以上に分野別運用方針の最新情報に照らして判断する必要があります。採用計画は、候補者数や紹介ルートだけでなく、上限到達時の代替時期、国内人材・他在留資格との組み合わせも含めて見直す段階に入っています。

まとめ

第15回有識者会議は、育成就労制度の本格施行を前に、特定技能制度と育成就労制度をどのように接続し、分野ごとの受入れ上限を現実に合わせて運用するかを確認する場だったといえます。2026年10月19日に開催され、出入国在留管理庁が公表した配布資料では、分野別運用方針の改正案や上限到達への対応が中心に示されました。

今回のポイントは、大きく次の4点に整理できます。

論点主な内容
介護分野全体の受入れ見込数160,700人は維持しつつ、特定技能1号へ20,000人分を振り替える案が示されました。
外食業特定技能1号の上限到達を受けた受入停止措置と、医療・福祉施設給食業等を飲食料品製造業分野で受け入れる緊急的対応が論点になりました。
7分野の見直し介護、工業製品製造業、建設、航空、漁業、飲食料品製造業、外食業で、業務区分や対象業務の追加・整理が検討されています。
実務影響上限に近づく分野では、在留資格認定証明書の一時的な交付停止や、育成就労計画の認定停止を前提に採用計画を組む必要があります。

特に介護分野の議論は、単純な受入れ総量の拡大ではなく、特定技能1号と育成就労の間で配分を調整する考え方を示した点が重要です。特定技能1号の在留者数が想定を上回る一方、育成就労側には一定の余地があるとして、令和9年度・令和10年度に向けた内訳変更案が示されました。

外食業については、上限に近づいた分野で実際に受入停止措置が取られていることから、企業にとっても制度上の上限が抽象的な数字ではなく、採用可否に直結する運用ルールであることが明確になりました。施設給食への対応も、公共性の高い業務をどう継続するかという実務的な調整といえます。

全体として、今回の議論は、2027年4月1日の育成就労制度本格施行を前に、分野別運用方針と受入れ上限を実態に合わせて微修正していくプロセスと位置づけられます。企業側は、対象業務の範囲だけでなく、分野ごとの受入れ見込数や上限到達時の停止措置まで含めて、採用計画を見直す必要があります。

なお、現時点で確認できる内容は、主に2026年10月20日時点で公表されている配布資料に基づく整理です。会議としての最終了承状況や委員意見の詳細については、今後公表される議事録・議事要旨、分野別運用方針や告示の正式な改正内容を確認する必要があります。