厚生労働省が令和8年8月31日に公表した「令和7年外国人雇用実態調査」では、外国人労働者を雇用する事業所の課題として「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が46.2%で最多となりました。令和7年調査は、2025年9月30日時点の実態を、2026年8月に公表したものとして読むと分かりやすい調査です。

この数字は、単に「日本語ができる・できない」という語学力だけの問題ではありません。業務指示、安全確認、勤怠ルール、生活上の相談先など、採用後に現場で起きるすれ違いが、受け入れ企業と外国人材の双方に負担を生んでいることを示しています。

本記事では、調査結果の中でも課題1位となった日本語コミュニケーションに注目し、入社前教育や生活支援がなぜ定着・活躍の土台になるのかを、営業色を抑えながら整理します。

令和7年調査で見えた、外国人雇用の課題1位は日本語コミュニケーション

厚生労働省は、令和8年8月31日に「令和7年外国人雇用実態調査」の結果を公表しました。調査時点は令和7年9月30日現在、実施期間は令和7年10〜11月です。読者の方が混乱しやすい点ですが、ここでいう「令和7年調査」は、2025年時点の実態を、2026年8月に公表したものと捉えると分かりやすいです。

調査対象は、雇用保険被保険者5人以上、かつ外国人労働者1人以上を雇用している全国の事業所と、そこで働く外国人常用労働者です。有効回答は3,919事業所・14,248人。外国人雇用が、採用の入口だけでなく、日々の雇用管理や受け入れ体制まで含めて問われる段階に入っていることがうかがえます。

項目内容
公表日令和8年8月31日
調査時点令和7年9月30日現在
実施期間令和7年10〜11月
有効回答3,919事業所・14,248人

今回、特に注目したいのが、事業所調査における「外国人労働者の雇用に関する課題」です。最も多かった回答は「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」で46.2%。前年の43.9%から2.3ポイント上昇しており、現場で最も多く認識されている課題として浮かび上がりました。

順位外国人労働者の雇用に関する課題割合
1位日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい46.2%
2位在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑24.8%
3位文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある22.4%
4位生活環境の整備にコストがかかる21.9%

この結果は、単に「日本語ができる人を採用すればよい」という話ではありません。2位には在留資格申請などの事務負担、3位には文化・価値観・生活習慣の違い、4位には生活環境の整備コストが続いています。つまり、課題は職場内の会話だけでなく、手続き、暮らし、相談体制まで広がっています。

だからこそ、入社前の段階で仕事内容、業務で使う言葉、報連相の仕方、勤怠ルール、生活上の基本情報を共有しておくことには意味があります。外国人材本人の努力を支える学習環境を整えることは、現場担当者の説明負担を減らし、入社後のすれ違いを小さくするための準備でもあります。

46.2%という数字は、事業所側の複数回答によるものであり、日本語教育だけで課題がすべて解消するとは言い切れません。ただ、職場と生活の両面でオンボーディングを設計する重要性は、この調査から十分に読み取れます。外国人雇用の成否は、採用後に「伝わる状態」をどうつくるかに移りつつあります。

令和7年調査では、外国人雇用の課題として「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が46.2%で最多となり、職場と生活の両面での受け入れ準備が重要であることが示されました。

現場が困っているのは、単なる“言葉の問題”ではない

「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」という課題は、本人の語学力不足だけに矮小化して捉えるべきではありません。令和7年外国人雇用実態調査では、この項目が全体で46.2%と最多でしたが、産業別に見ると、製造業56.4%、建設業53.3%、電気・ガス・熱供給・水道業51.8%で特に高くなっています。

産業「コミュニケーションが取りにくい」割合
製造業56.4%
建設業53.3%
電気・ガス・熱供給・水道業51.8%

これらの業種では、朝礼での指示、危険箇所の確認、作業手順の理解、報連相、品質基準の共有などが毎日発生します。つまり、困っているのは「雑談ができない」ことではなく、業務を安全に、一定の品質で回すための情報が正確に伝わりにくいことです。

実際、外国人常用労働者の会話能力を見ると、最多は「日常的なことなら短い会話に参加できる」24.9%で、「幅広い話題について自由に会話できる」は16.3%にとどまります。日常会話ができる人でも、業務語彙、あいまいな指示、緊急時の聞き返し、先輩への相談となると、別の壁が生まれます。

読解力にもばらつきがあります。日本語能力試験、いわゆるJLPTではN5が基礎、N1に近づくほど高度な水準ですが、読解はN4レベル21.4%、N3レベル20.9%、N5レベル16.3%が多く、「日本語はほとんどわからない」も6.8%あります。就業規則、安全手順、勤怠ルール、生活案内を日本語で渡すだけでは、必ずしも理解されたとは言えません。

だからこそ、入社前の段階で、現場で使う言葉や確認フレーズ、報連相の型、安全に関する表現を学べる環境には意味があります。外国人材本人の努力に任せきるのではなく、企業側も「何を、どの日本語で、どこまで理解してほしいのか」を整理することが、現場の説明負担を減らし、入社後のすれ違いを小さくする第一歩になります。

日常会話ができることと、現場指示・安全確認・手順理解ができることは同じではありません。

働く側にもある「聞いていた話と違う」というギャップ

外国人雇用の課題は、企業側だけに見えているものではありません。厚生労働省の令和7年外国人雇用実態調査、つまり2025年時点の実態を2026年8月に公表した調査では、外国人常用労働者側にも就労上のトラブルや困りごとがあることが示されています。

就労上のトラブル・困りごとが「あり」と回答した割合は10.0%でした。多数派ではないものの、内容を見ると、採用前の説明や来日・入社後の相談体制に関わる項目が並びます。

就労上のトラブル・困りごとの内容割合
紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった22.2%
トラブルや困ったことをどこに相談すればよいかわからなかった15.8%
事前の説明以上に高い日本語能力を求められた11.9%

特に注目したいのは、「事前の説明以上に高い日本語能力を求められた」という回答です。全体では11.9%ですが、専門的・技術的分野では16.9%、技術・人文知識・国際業務、いわゆる技人国では27.2%、留学では21.3%と高めに出ています。

これは、本人の日本語力だけの問題ではありません。面接時には「日常会話ができれば大丈夫」と伝えていても、実際の現場では、報告・連絡・相談、専門用語、電話対応、クレーム対応、安全確認、社内チャットなど、より細かな日本語運用が求められることがあります。働く側からすれば、「聞いていた話と違う」と感じても不思議ではありません。

だからこそ採用時点で、仕事内容、必要な日本語レベル、入社後に使う業務語彙、困ったときの相談先、寮やごみ出し、通勤、病院のかかり方といった生活ルールまで、できるだけ具体的に共有しておくことが大切です。

入社前教育は、単に日本語を勉強してもらう時間ではなく、企業と外国人材の認識をそろえる準備期間でもあります。studyのように、入社前から日本語・職場理解・生活オリエンテーションを段階的に確認できる学習環境は、本人の不安を減らし、現場担当者の説明負担を軽くする一助になり得ます。

入社前教育は、現場と外国人材をつなぐ“共通言語”をつくる

令和7年調査(2025年時点の実態、2026年8月公表)では、外国人労働者を雇用する理由として「労働力不足の解消・緩和のため」が68.2%で最多でした。一方で、次に多いのは「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」の56.2%です。つまり企業は、単に人手を補いたいだけでなく、採用した人材に現場で力を発揮してほしいと考えています。

その期待を現実につなげるうえで、入社前教育は重要な準備になります。日本語力を一律に高めるというより、配属先で必要になる言葉や行動を、入社前にそろえておく取り組みです。現場でよく使う業務語彙、報連相、安全確認、勤怠ルールなどを事前に学んでおくことで、入社初日からの戸惑いを減らしやすくなります。

  • 業務語彙や道具・工程・場所の呼び方
  • 報告・連絡・相談のタイミングと定型フレーズ
  • 安全確認、禁止事項、異常時の伝え方
  • 勤怠ルール、就業規則、休暇申請の読み方
  • 分からないときに、誰へどう質問するか

ここで大切なのは、「日本語ができるかどうか」だけで判断しないことです。調査では、会話について「日常的なことなら短い会話に参加できる」が24.9%で最多でした。日常会話ができても、現場指示や安全確認、就業規則の理解には別の難しさがあります。入社前教育は、その差を埋めるための“業務の日本語”を整える機会だといえます。

また、外国人材側にも学ぶ意欲や研修参加の実態があります。過去1年間に仕事のための職業訓練・勉強等を実施した外国人労働者は50.4%で、内容は「自学・自習」48.9%、「勤め先での研修」43.7%が上位でした。ただし、この設問は日本語学習以外を対象としている点には注意が必要です。それでも、学習の土台がある人材に、職場理解や日本語コミュニケーションを組み合わせる意義は小さくありません。

たとえばstudyのような学習環境は、本人の努力を個人任せにせず、入社前から必要な知識を段階的に確認できる仕組みとして活用できます。現場担当者にとっても、毎回同じ説明を一から繰り返す負担を減らし、「ここまでは学んできている」という前提を持ちやすくなります。

入社前教育の価値は、完璧な日本語を身につけさせることではありません。働く側と受け入れる側が、同じ言葉で安全・ルール・相談の仕方を確認できる状態をつくることです。その“共通言語”があるほど、入社後のすれ違いは課題として見えやすくなり、早い段階で支援につなげやすくなります。

生活支援まで含めて、オンボーディングを設計する

外国人雇用の課題は、職場の中だけで完結するものではありません。令和7年調査(2025年時点の実態、2026年8月公表)では、課題の3位に「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」22.4%、4位に「生活環境の整備にコストがかかる」21.9%が挙がっています。日本語コミュニケーションの難しさと同じく、生活面の不安や習慣の違いも、現場の定着や関係づくりに影響し得る要素です。

特に「生活環境の整備にコストがかかる」は、産業によって負担感に差が見られます。

産業「生活環境の整備にコストがかかる」割合
農業・林業40.0%
医療・福祉35.5%
建設業31.6%

住居の確保、転入などの行政手続、医療機関の受診方法、金融機関での口座開設、地域生活のルール、交通手段、ゴミ出し、緊急時対応、困ったときの相談先。これらは一つひとつは生活上の手続きですが、分からない状態が続くと、遅刻や欠勤、体調不良の放置、職場への不信感につながることもあります。

つまり、オンボーディングは「初日に会社ルールを説明すること」だけでは不十分です。入社前から、日本での暮らし方、職場で使う基本表現、報連相、勤怠や安全に関する考え方を少しずつ共有しておくことで、本人も現場も安心してスタートを切りやすくなります。学習環境は、本人の努力を促すだけでなく、現場担当者の説明負担を減らす事前準備にもなります。

特定技能1号では、受入れ機関が「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、職業生活上・日常生活上・社会生活上の支援を行う必要があります。支援内容には、事前ガイダンス、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供などが含まれます。これは、生活支援が“あると親切な福利厚生”ではなく、制度運用上も重要な受け入れ体制の一部であることを示しています。

外国人材に長く活躍してもらうためには、採用後に困りごとが起きてから対応するのではなく、入社前教育と生活支援をセットで設計する視点が欠かせません。職場と生活の両面で「分からない」を減らすことが、結果として定着の土台づくりにつながります。

企業側にも求められる、伝わる環境づくり

令和7年調査で、事業所側の課題として最も多かったのは「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」46.2%でした。ただし、この結果を外国人材本人の日本語努力だけに寄せてしまうと、現場の改善は進みにくくなります。伝わらない背景には、業務指示の出し方、文書の分かりにくさ、相談先の不明確さなど、企業側の受け入れ環境も関係しているためです。

厚生労働省の「外国人雇用管理指針」では、外国人労働者が円滑に職場へ適応できるよう、社内規程その他文書の多言語化など、職場における円滑なコミュニケーションの前提となる環境整備に努めることが示されています。就業規則、勤怠ルール、安全手順、評価制度、相談窓口などは、渡しただけで理解されたとは限りません。読める形、聞ける形、確認できる形に整えることが重要です。

同指針では、生活支援についても次のような取り組みが挙げられています。

  • 日本語教育や日本語学習機会の提供
  • 日本の生活習慣・文化・風習・雇用慣行への理解支援
  • 地域活動への参加機会の案内
  • 行政機関・医療機関・金融機関等の情報提供や同行

これらは福利厚生というより、安定して働くための土台づくりです。生活上の不安が大きいままでは、職場での報連相や学習にも影響します。入社前から生活オリエンテーションや相談先の共有を行うことは、本人の安心だけでなく、現場担当者の説明負担を減らすことにもつながります。

教育訓練についても、同指針では日本語能力に配慮した教育訓練や、母国語での導入研修などが示されています。これからの外国人雇用では、「日本語ができる人を採る」だけでなく、「日本語能力に配慮して育てる」という発想が欠かせません。入社前に業務語彙、報連相、安全確認、職場ルールを学ぶ機会を用意することは、採用後のすれ違いを減らす共通言語づくりになります。

さらに、出入国在留管理庁と文化庁の「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」では、多言語翻訳・通訳に加えて、やさしい日本語の活用も有効とされています。短く言う、主語を明確にする、あいまいな表現を避ける、専門用語を言い換える。日本人社員や管理者が「伝わる日本語」を使うことも、現場で今日から始められる改善策です。

まとめ

令和7年外国人雇用実態調査は、2025年時点の実態をもとに、2026年8月に公表された調査です。事業所調査で最も多かった外国人雇用の課題は、日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくいこと、46.2%でした。前年の43.9%からも上昇しており、現場で最も認識されている課題として受け止める必要があります。

ただし、この数字は外国人本人の日本語力だけを示すものではありません。業務指示の出し方、マニュアルや社内ルールの伝え方、生活面の不安、困ったときの相談先、管理者側の説明のしやすさまで含めた、受け入れ設計全体の課題として読むべきです。日常会話ができても、安全確認、報連相、勤怠ルール、現場特有の言い回しではすれ違いが起こり得ます。

あわせて見ておきたいのが、外国人雇用の広がりです。令和7年10月末時点の外国人雇用状況の届出状況では、外国人労働者数は2,571,037人、外国人を雇用する事業所数は371,215所となり、いずれも届出義務化以降で過去最多でした。外国人雇用は、もはや一部の企業だけの特別なテーマではなく、多くの職場に関わる雇用管理の課題になっています。

なお、この2,571,037人という数値は、すべての事業主に外国人の雇入れ・離職時の届出を義務付ける外国人雇用状況届出の集計です。一方、令和7年外国人雇用実態調査は、雇用保険被保険者5人以上かつ外国人労働者1人以上を雇用する事業所などを対象にした調査であり、対象範囲が異なります。数字を比較する際は、この違いに注意が必要です。

これからの外国人雇用では、日本語ができる人を採るという発想だけでは限界があります。入社前に業務語彙や報連相、職場ルールを学べる環境を整えること。住居、行政手続、医療、地域生活、相談先などの生活支援を組み込むこと。そして企業側も、やさしい日本語や多言語化、相談体制づくりに取り組むこと。studyのような入社前学習の仕組みは、こうした共通言語づくりを支える選択肢の一つになり得ます。

もちろん、日本語教育や生活支援を導入すれば、すべての課題が直ちに解消するわけではありません。それでも、入社前教育・生活支援・企業側の伝わる環境づくりを組み合わせることは、現場担当者の説明負担を減らし、外国人材本人の不安を和らげ、採用後のすれ違いを軽減する可能性があります。46.2%という数字は、その準備を後回しにしないための重要なサインだといえます。