特定技能2号評価試験等に不合格だった場合でも、一定の要件を満たせば、特定技能1号の通算在留期間が最長6年まで認められる可能性があります。

一般には「1年延長」と表現されることがありますが、正確には、原則5年以内とされる特定技能1号の通算在留期間について、許可された場合に限り6年を上限として在留を認める特例です。

根拠として確認すべきなのは、出入国在留管理庁の「通算在留期間」ページにある「特定技能2号評価試験等に不合格」の取扱いです。

2025年9月30日の省令改正・運用の見直しを受け、2号移行を目指しているものの不合格となった人について、合格基準点の8割以上を取得していることなどを条件に、在留継続が認められる場合があります。

ただし、「不合格なら誰でも延長できる」制度ではありません。本人の再受験意思、受入機関の継続雇用・支援体制、必要書類、分野別の追加要件などを確認し、5年満了前から計画的に準備することが重要です。

参照:出入国在留管理庁「通算在留期間」 : https://www.moj.go.jp/isa/10_00233.html

まず結論:「不合格でも1年延長」は正確にどう理解するべきか

結論からいうと、特定技能2号評価試験等に不合格だった場合でも、一定の要件を満たせば、特定技能1号の通算在留期間が原則5年から通算6年まで認められる可能性があります。実務上は「不合格でも1年延長」と説明されることがありますが、これは制度の全体像をかなり短く言い換えた表現です。

正確には、出入国在留管理庁の「通算在留期間」ページで示されている「特定技能2号評価試験等に不合格」の取扱いに基づき、5年を超えて在留することについて「相当の理由」があると認められる場合の特例です。つまり、在留期間が自動的に1年足される制度ではありません。

よくある理解正確な理解
2号試験に落ちても1年延長できる一定要件を満たし、許可された場合に限り、1号の通算在留期間が6年まで認められる可能性がある
不合格者は誰でも対象対象分野、試験結果、本人の誓約、受入機関の体制などが確認される
5年の上限がなくなる原則5年の枠組みを前提に、例外的に通算6年を上限とする

ここでいう「特定技能1号」とは、一定の技能を持つ外国人が対象分野で働くための在留資格で、通算在留期間は原則5年以内です。一方、「特定技能2号」は、より熟練した技能を前提とする在留資格です。今回の特例は、2号への移行を目指して試験等を受けたものの不合格となった人について、一定の到達度が確認できる場合に、再挑戦の機会を考慮する趣旨の取扱いと理解するとよいでしょう。

したがって、記事全体を読むうえで押さえたいのは、「延長できる」ではなく「延長できる場合がある」という点です。特に、必要な試験等で合格基準点の8割以上を得ていることなど、出入国在留管理庁が示す要件を満たす必要があります。複数の試験・検定が必要な分野では、一部だけでは足りず、必要な全ての試験等について確認される点にも注意が必要です。

受入企業にとっても、この特例は単なる在留期限の猶予ではありません。本人が再受験に向けて努力すること、合格後は速やかに次の在留資格への変更申請を行うこと、受入機関が継続雇用や試験合格に向けた支援体制を持つことなどが実務上の論点になります。まずは「自動延長ではなく、許可制の例外措置である」と整理しておくことが出発点です。

「不合格でも1年延長」は自動延長ではなく、一定要件を満たし許可された場合に限り特定技能1号の通算在留期間が6年まで認められる可能性がある、という意味です。

根拠はどこにあるのか:入管庁の「通算在留期間」ページと省令改正

「特定技能2号に不合格でも、1年延長できる」という話の主な公的根拠は、出入国在留管理庁が公表している「通算在留期間」ページにあります。2026年8月10日時点で確認できる同ページの「4 特定技能2号評価試験等に不合格」では、一定の要件を満たす1号特定技能外国人について、特定技能1号の通算在留期間が「6年」となる取扱いが示されています。

ここで重要なのは、「不合格=自動的に1年延長」ではないという点です。特定技能1号は原則として通算5年以内の在留資格です。その例外として、特定技能2号評価試験等に不合格となった人のうち、入管庁が示す要件を満たし、「5年を超えて在留することについて相当の理由がある」と認められる場合に限り、通算6年を上限に在留が認められる、という整理になります。

確認する根拠位置づけ
出入国在留管理庁「通算在留期間」ページ実務上まず確認すべき公的案内。「4 特定技能2号評価試験等に不合格」に対象者・要件・申請の考え方が示されています。
令和7年9月30日法務省令第47号制度改正の法令上の背景となる省令です。正式名称は「出入国管理及び難民認定法施行規則及び出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の一部を改正する省令」です。
JITCO・自治体等の案内令和7年9月30日の公布・施行により、通算在留期間に関する規定が改正されたことを補足的に確認できます。

JITCOの案内でも、令和7年9月30日に同省令が公布・施行され、通算在留期間に関する規定が改正されたと説明されています。また、複数の自治体の技能検定成績証明書発行案内でも、特定技能2号評価試験等に不合格となった1号特定技能外国人について、一定要件のもと最長1年の在留継続が認められる旨が紹介されています。

ただし、JITCOや自治体の案内は、制度理解を補う資料として有用である一方、申請可否を判断する際の出発点は、あくまで入管庁の最新公表情報です。特にこの特例は、在留期限・試験結果・分野別要件が重なるため、企業側も本人側も「通算6年まで認められる可能性がある制度」として慎重に確認する必要があります。

「1年延長」は、特定技能1号の原則5年を自動で延ばす制度ではなく、入管庁の要件を満たす場合に通算6年まで認められ得る特例です。

対象になる人:ポイントは「必要な全試験等で合格基準点の8割以上」

この特例の対象になるのは、単に「特定技能2号の試験に落ちた人」ではありません。出入国在留管理庁が示す取扱いでは、「特定技能2号」での受入れが認められている特定産業分野に関する特定技能2号評価試験等に不合格となった1号特定技能外国人のうち、一定の要件を満たす人が対象です。

中心になる要件は、分野別運用方針に定められた、特定技能2号への移行に必要な全ての試験・検定等について、合格基準点の8割以上の得点を取っていることです。ここで重要なのは「一部の試験だけ」では足りない点です。複数の試験や検定が必要な分野では、その全てで8割以上であることが求められます。

確認項目実務上の見方
対象分野特定技能2号での受入れが認められている特定産業分野かを確認します。
試験等の範囲分野別運用方針で、2号移行に必要とされる全ての試験・検定等を確認します。
得点要件必要な全試験等で、合格基準点の8割以上を取得していることがポイントです。
疎明資料試験結果通知書などで、点数や8割以上であることを客観的に示せる必要があります。

不合格となった試験の受験日は問われないとされています。ただし、いつ受けた試験でもよいという意味ではなく、試験結果通知書などの疎明資料から「合格基準点の8割以上」を満たしていることが明らかでなければなりません。合否だけが分かり、点数や基準点との関係が確認できない資料では、特例の利用が難しくなる可能性があります。

そのため実務では、本人がどの試験を受け、何点を取り、合格基準点の8割に届いているのかを早めに整理することが欠かせません。受入機関側も、分野別の対象試験、試験結果通知書の発行・再発行の可否、追加要件の有無を最新の公表情報で確認しておく必要があります。

本人と受入機関に求められる誓約・支援体制

この特例は、特定技能2号評価試験等に不合格だった本人の点数だけで判断されるものではありません。出入国在留管理庁の「通算在留期間」ページでは、本人による誓約と、受入れ側である特定技能所属機関の継続雇用意思・支援体制も確認事項として示されています。

本人側では、単に「合格基準点の8割以上を取った」という過去の結果だけでなく、次の在留期間中に2号等への移行を目指す意思が求められます。具体的には、次の内容を誓約する必要があります。

  • 8割以上を取得した特定技能2号評価試験等について、合格に向けて努力し、再受験すること
  • 合格した場合は、速やかに「特定技能2号」への在留資格変更許可申請を行うこと
  • 介護分野では、合格後に在留資格「介護」への在留資格変更許可申請を行うこと
  • 合格できなかった場合は、速やかに帰国すること
  • 在留諸申請時点で出国している場合は、出国日から1年以内に日本へ入国すること

一方、受入れ側の特定技能所属機関にも要件があります。申請人を引き続き雇用する意思があることに加え、特定技能2号評価試験等の合格に向けた指導・研修・支援等を行う体制を有していることが求められます。

確認される側主な確認内容
申請人本人再受験・合格後の変更申請・不合格時の帰国等を誓約すること
特定技能所属機関継続雇用の意思と、合格に向けた指導・研修・支援体制があること

実務上は、試験結果通知書で8割以上を示せるかに注目しがちですが、それだけでは足りません。会社側が「次の1年をどう使って合格に近づけるのか」を説明できる状態にしておくことが重要です。勤務シフトと学習時間の調整、再受験日程の把握、社内研修や外部講座の活用など、支援の中身を具体化しておくと、申請準備も進めやすくなります。

つまり、この特例は「不合格者の救済」というより、2号等への移行可能性が高い人について、本人と企業が再挑戦に向けた責任を負う制度と理解するのが実務的です。本人の意思確認と、受入機関の支援体制の整備を早めに行うことが、審査上の重要な分かれ目になります。

申請時期・申請類型・必要書類を確認する

この特例を使う場合、手続は特定技能1号の通算在留期間5年が満了する前に行う必要があります。出入国在留管理庁の案内では、目安として満了のおおむね3か月前に手続を行うとされています。試験結果通知書の準備や、受入機関側の継続雇用・支援体制の確認にも時間がかかるため、「満了直前に考える」では間に合わない可能性があります。

申請類型は、本人が置かれている状況によって異なります。日本にいる人が現在の特定技能1号を更新するのか、別の在留資格から変更するのか、いったん出国している人を呼び戻すのかによって、使う手続が変わります。いずれの場合も、単に不合格だったというだけでは足りず、「在留を適当と認めるに足りる相当の理由」がある場合に限り、通算6年を上限として許可される整理です。

場面主な申請類型確認したい点
日本で特定技能1号として在留中在留期間更新許可申請5年満了前に、6年上限の特例として申請できるか
別の在留資格から特定技能1号へ移る場合在留資格変更許可申請変更後の在留が通算期間との関係で認められるか
海外から入国する場合在留資格認定証明書交付申請出国日から1年以内の入国など、本人の誓約内容に合うか

必要書類は、通常の在留資格「特定技能1号」の在留期間更新許可申請に係る提出書類に加えて、特例固有の資料をそろえる必要があります。具体的には、「通算在留期間を超える在留に関する申立書(参考様式第1-31号)」、特定技能2号への移行に必要な全ての試験結果通知書の写しが挙げられます。介護分野では、厚生労働省社会・援護局長が発行する結果確認通知書も必要とされています。

参考様式第1-31号には、身分事項、不合格となった試験等、受験年月日、試験結果通知書の発行年月日、総得点、合格基準点の8割の点数または80%などを記載する欄があります。つまり、点数が分かる通知書を保管していない、再発行の可否が分からない、必要な全試験分がそろっていない、といった状態では実務上大きな支障になります。

様式は更新されることがあるため、古いデータを使い回さず、出入国在留管理庁の「特定技能関係の申請・届出様式一覧」から最新版を取得して準備するのが安全です。あわせて、分野ごとの試験結果通知書の発行方法や再発行手続も、試験実施機関・所管省庁の最新情報で確認しておきましょう。

分野別の注意点と、混同しやすい別の通算期間ルール

この特例で特に注意したいのは、対象となる試験や追加要件が分野ごとに異なる点です。出入国在留管理庁の取扱いは共通の枠組みを示すものですが、実際に何の試験結果で「合格基準点の8割以上」を確認するかは、分野別運用方針や所管省庁、試験実施機関の案内を見て判断する必要があります。

分野確認したいポイント
介護特定技能2号ではなく、在留資格「介護」への移行が想定されます。
外食業日本語能力試験N3以上など、技能試験以外の要件にも注意が必要です。
航空学科試験・実技試験の双方で合格基準点の80%以上が例示されています。
工業製品製造業製造分野特定技能2号評価試験ルート、技能検定ルートなどの整理があります。

介護分野は少し特殊です。特定技能2号への移行ではなく、介護福祉士資格を前提とする在留資格「介護」への変更が想定されています。厚生労働省通知では、介護福祉士国家試験のパート合格など一定条件を満たす人について、通算在留期間が6年に達するまで在留可能とする運用の対象となるための手続が示されています。

飲食料品製造業・外食業では、農林水産省の案内を確認します。いずれも特定技能2号技能測定試験で合格基準点の8割以上を取得していることなどがポイントですが、外食業では日本語能力試験N3以上の取得も必要とされています。また、令和7年10月17日以降の取扱いとして、日本語能力試験N3以上で合格基準点の8割以上を取得している場合も対象となり得る旨が示されており、最新情報の確認が欠かせません。

航空分野では、日本航空技術協会が、学科試験および実技試験で合格基準点の80%以上を得点した場合に、5年を超える在留に合理的理由がある場合に該当すると案内しています。工業製品製造業分野では、経済産業省資料で、評価試験ルートや技能検定ルートなど、対象となる試験・検定の整理が示されています。

あわせて混同しやすいのが、特定技能1号の通算在留期間そのものの計算です。原則5年の中には、特定技能1号で在留中に就労していない期間、再入国許可・みなし再入国許可による出国期間、特定技能1号への移行を希望する場合の「特定活動」の在留期間も含まれます。今回の特例は、5年の計算を自由にリセットする制度ではありません。

一方で、再入国できなかった期間、産前産後休業・育児休業、病気・怪我による休業などを、一定要件のもとで通算在留期間に含めない取扱いもあります。これは、2号試験等に不合格となった人について通算6年を上限に在留を認め得る特例とは別の制度です。実務では、どのルールで期間を見ているのかを分けて整理することが重要です。

まとめ:早めの期間計算と証明資料の確認が実務の分かれ目

特定技能2号評価試験等に不合格だった場合の取扱いは、「不合格なら誰でも1年延長」ではありません。入管庁の整理では、一定の要件を満たす場合に限り、特定技能1号の通算在留期間について、原則5年を超え、通算6年まで在留が認められ得る特例です。

実務でまず確認したいのは、試験結果の点数です。合格基準点の8割未満の場合は対象外になり得ます。また、複数の試験・検定が必要な分野では、一部だけでは足りず、特定技能2号への移行に必要な全ての試験等で合格基準点の8割以上を取得していることが重要です。

  • 合格基準点の8割以上であることを、試験結果通知書などで確認する
  • 必要な全試験等について、点数を証明できる資料をそろえる
  • 本人が再受験・資格変更申請・不合格時の帰国等を誓約する
  • 受入機関が継続雇用の意思と、合格に向けた指導・研修・支援体制を示す

申請準備は、5年の通算在留期間が満了する前、おおむね3か月前には着手するのが安全です。申請は在留期間更新許可申請など、本人の状況に応じた類型で行いますが、許可は自動ではありません。「5年を超えて在留することについて相当の理由がある」と認められる場合に限られます。

分野別の要件にも注意が必要です。介護分野では特定技能2号ではなく在留資格「介護」への移行が想定されるなど、扱いが異なる場合があります。外食業の日本語能力要件、製造分野の対象ルート、各試験の結果通知書の発行・再発行方法なども更新され得るため、入管庁、各分野所管省庁、試験実施機関の最新版を必ず確認してください。

最後に見落としやすいのが、通算在留期間の計算です。出入国記録を使って特定技能1号の在留期間を把握する方法はありますが、出入国記録に算定結果そのものは記載されません。また、地方出入国在留管理局の開示請求窓口や電話では、通算在留期間の算定を含む問合せは受け付けないとされています。

つまり、企業と本人の側で早めに出入国歴、在留カードの期間、特定技能1号での在留状況を整理し、試験結果通知書や申立書の準備状況を確認しておくことが実務の分かれ目です。判断に迷う場合は、申請直前ではなく、期間に余裕がある段階で専門家に確認することをおすすめします。