在留資格変更、在留期間更新、永住許可などに係る入管手数料の大幅な引き上げを含む改正法が、2026年5月29日に成立し、同年6月5日に公布されました。外国人を雇用する企業や登録支援機関、申請を予定している外国人本人にとって、今後の費用負担に直結する重要な制度改正です。
ただし、2026年6月30日時点では、法律で定められたのは主に「手数料の上限額」であり、実際に徴収される新料金や施行日は政令で最終決定される段階です。報道では早ければ2026年10月にも実施方針とされていますが、正式な適用日はまだ確定していません。
この記事では、成立した改正法の概要、現行手数料との違い、報道ベースで示されている入管庁案、適用時期と経過措置、企業・実務担当者が今から確認しておきたいポイントを整理します。
改正法は成立・公布済み。ただし「新料金」はまだ確定前
2026年6月30日時点の結論から言うと、入管手数料の大幅引き上げを含む改正法は、すでに成立・公布されています。一方で、在留資格変更、在留期間更新、永住許可などで実際にいくら支払うことになるのか、またいつから新料金になるのかは、まだ最終確定していません。
今回の改正法の正式名称は「出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律」です。法律番号は「令和8年法律第32号」で、2026年5月29日に国会で可決・成立し、6月5日に公布されました。
参議院本会議での投票結果は、投票総数244、賛成186、反対58です。賛成多数で可決されたため、「改正案が通るかどうか」という段階はすでに終わっています。今後の焦点は、改正法の枠内で政令により具体的な手数料額と施行日がどう定められるかに移っています。
| 項目 | 2026年6月30日時点の状況 |
|---|---|
| 改正法の成立 | 2026年5月29日に成立済み |
| 公布 | 2026年6月5日に公布済み |
| 実際の新手数料額 | 政令待ちで未確定 |
| 施行日 | 政令待ちで未確定 |
ここで注意したいのは、「法律上の上限額」と「実際に徴収される新料金」は別物だという点です。改正法では、在留資格変更許可や在留期間更新許可、永住許可などについて、手数料の上限が引き上げられました。ただし、全員がその上限額をそのまま支払うという意味ではなく、実際の額はその範囲内で政令により決まります。
また、報道では入管庁案として、在留期間に応じた更新・変更手数料の目安や、永住許可の引き上げ案が伝えられています。しかし、これらはあくまで入管庁案・報道ベースの情報であり、政令公布前の段階では最終決定額ではありません。企業や登録支援機関、外国人本人が実務上判断する際は、「確定済みの法律」と「今後決まる政令」を分けて確認する必要があります。
本記事では、この前提に立ち、出入国在留管理庁の公表ページ、参議院の議案資料、参議院本会議の投票結果などをもとに、確定している内容と未確定の内容を切り分けながら整理していきます。
今回の改正で何が変わるのか:大きな柱は2つ
今回成立・公布された改正法は、入管手数料だけを変える法律ではありません。全体としては、出入国・在留管理の仕組みを見直す改正であり、大きく分けると「入国前・上陸時の審査」と「在留中の各種許可にかかる手数料」の2つが柱になります。
| 柱 | 主な内容 | 実務上の見方 |
|---|---|---|
| 事前認証制度・上陸審査の見直し | 査証免除対象者などについて、来日前に一定の認証を求める制度を創設し、上陸審査のあり方を見直すものです。 | 短期滞在や入国時の手続に関わる領域で、今後の運用確認が必要です。 |
| 手数料上限の引き上げ | 在留資格変更、在留期間更新、永住許可、再入国許可などに係る手数料の法律上の上限額を引き上げるものです。 | 外国人雇用の現場では、更新・変更・永住申請などの費用負担に直結しやすい部分です。 |
衆議院の法律案概要でも、今回の改正は「在留資格の変更の許可等に係る手数料の額の上限額を引き上げる等の措置」を含むものとして説明されています。つまり、法律上はまず「いくらまで徴収できるか」という上限を広げ、実際の金額はその範囲内で政令により定める、という建て付けです。
外国人雇用の実務で特に影響が大きいのは、やはり2つ目の手数料引き上げです。たとえば特定技能、技術・人文知識・国際業務、技能実習からの移行などでは、在留期間更新や在留資格変更が継続的に発生します。企業が費用を負担するのか、本人負担とするのか、社内規程や雇用条件との整合性も確認が必要になります。
また、改正法は手数料額を決める際の考慮要素も示しています。単なる窓口手続の実費だけでなく、外国人の適正な在留を確保するための事務費用、適法に在留する外国人への安定的・円滑な在留支援に関する事務費用、公正な出入国・在留管理に要する費用、さらに諸外国の同種手数料額などが挙げられています。
そのため本記事では、改正法全体のうち、企業・登録支援機関・外国人本人への影響が読み取りやすい「手数料引き上げ」に焦点を当てて整理します。なお、具体的な新料金はまだ最終確定前であり、法律上の上限額と、報道されている入管庁案は分けて見る必要があります。
法律上の上限額はいくらになったのか:現行手数料と比較
今回の改正でまず押さえたいのは、「いくら払うことになるのか」について、確定している情報と未確定の情報を分けて見ることです。2026年6月30日時点で確定しているのは、改正法に書き込まれた法律上の上限額です。一方、実際に窓口やオンライン申請で徴収される新手数料は、その上限の範囲内で政令により定められるため、まだ最終確定していません。
法律上の新上限は、在留資格変更許可と在留期間更新許可がそれぞれ10万円、永住許可が30万円、再入国許可と再入国許可の有効期間延長が1万円です。ただし、これは「全員が必ず10万円、30万円を支払う」という意味ではありません。あくまで国が政令で手数料を決める際の天井です。
| 手続 | 現行手数料 2025年4月1日改定後 | 法律上の新上限 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 在留資格変更許可 | 窓口6,000円 オンライン5,500円 | 10万円 | 実際の新料金は政令で決定 |
| 在留期間更新許可 | 窓口6,000円 オンライン5,500円 | 10万円 | 特定技能など、更新が必要な在留資格では影響を確認したい手続 |
| 永住許可 | 1万円 | 30万円 | 上限額としては最も大きい引き上げ |
| 再入国許可 | 1回限り:窓口4,000円・オンライン3,500円 数次:窓口7,000円・オンライン6,500円 | 1万円 | 再入国許可の有効期間延長も上限1万円 |
現行額と並べると、上限額だけを見ればかなり大きな幅が設けられたことが分かります。たとえば在留期間更新許可は、現在は窓口申請で6,000円ですが、法律上は10万円まで設定できる形になりました。永住許可も、現行1万円に対して上限30万円です。
もっとも、実務上はこの「上限額」と「実際の徴収額」を混同しないことが重要です。改正後の入管法では、手数料は上限の範囲内で、実費や在留管理・在留支援に関する事務費用、諸外国の同種手数料などを考慮して政令で定める建て付けです。企業や登録支援機関は、現時点では上限額をリスク幅として把握しつつ、政令公布後に実額を確認する必要があります。
報道ベースの入管庁案:更新・変更は在留期間に応じて1万円〜7万5,000円程度か
では、実際の新手数料はいくらになるのでしょうか。2026年6月24日の報道では、出入国在留管理庁が自民党法務部会などの合同会議に新手数料案を示したとされています。今後、パブリックコメントを経て具体額を決める方針とされますが、現時点では政令で確定した金額ではありません。
報道ベースの素案では、在留資格変更許可と在留期間更新許可の手数料について、現行の原則6,000円から、許可される在留期間に応じて1万円〜7万5,000円程度へ引き上げる案が示されています。在留資格変更とは、たとえば留学から就労系の在留資格へ変える手続き、在留期間更新とは現在の在留資格のまま期間を延ばす手続きです。
| 許可される在留期間 | 報道ベースの入管庁案 |
|---|---|
| 3か月以下 | 1万円程度 |
| 1年 | 3万3,000円程度 |
| 3年以上5年未満 | 6万4,000円程度 |
| 5年以上 | 7万5,000円程度 |
特定技能や技術・人文知識・国際業務など、雇用に関係する在留資格では、更新のたびに手数料が発生します。そのため、企業や登録支援機関は、本人負担とするのか、会社が補助するのかを含め、費用説明の前提が変わる可能性があります。ただし、現段階で社内規程や見積書に確定額として反映するのは早計です。
永住許可については、法律上の上限額が30万円に引き上げられました。一方、6月24日時点の報道ベースの入管庁案では、現行1万円から20万円程度へ引き上げる案とされています。ここでも重要なのは、30万円は法律で設定された上限であり、全員が必ず30万円を支払うという意味ではない点です。
なお、2026年4月時点の国会審議や報道では、更新・変更について「3か月以下は1万円程度、5年は7万円程度」、永住は20万円程度という目安が示されていました。今回の記事では、より具体化した6月24日時点の案を優先して整理しています。
注意点として、20万円、7万5,000円などの金額は、いずれも入管庁案・報道ベースであり、最終額ではありません。実際の新手数料は、改正法の上限額の範囲内で政令により定められます。最新の公表情報と政令公布を確認したうえで、申請時期や費用負担を判断する必要があります。
いつから適用されるのか:施行日は政令待ち、遅くとも2027年3月31日まで
入管手数料の引き上げは、改正法が成立・公布されたからといって、ただちに新料金で運用が始まるわけではありません。手数料に関する入管法第67条の改正規定は、「令和9年3月31日までの間において政令で定める日」から施行される建て付けです。施行とは、成立した法律の規定が実際に効力を持ち始めることを指します。
つまり、遅くとも2027年3月31日までには新しい手数料制度が始まります。一方で、2026年6月30日時点では、具体的な施行日はまだ政令待ちです。政令とは、法律の委任を受けて内閣が定めるルールで、今回のように「いつから」「いくらで」運用するかを最終的に具体化する役割を持ちます。
| 項目 | 現時点で分かっていること |
|---|---|
| 法律の状況 | 2026年5月29日に成立、2026年6月5日に公布済み |
| 施行期限 | 遅くとも2027年3月31日まで |
| 正式な開始日 | 2026年6月30日時点では政令待ち |
| 報道上の見通し | 早ければ2026年10月にも引き上げ実施方針と報じられている |
注意したいのは、「早ければ2026年10月」という情報は、あくまで報道ベースの見通しであり、正式な施行日ではないという点です。入管庁が案を示し、パブリックコメントなどを経て具体額を決める流れが想定されていますが、企業や外国人本人が実務上の判断に使うべきなのは、最終的に公布される政令や出入国在留管理庁の公表情報です。
また、手数料を支払うタイミングについては、基本的な仕組みが維持される見込みです。改正後の入管法第67条では、手数料は「許可に係る記載、交付又は証印の時」に納付するとされています。分かりやすくいえば、在留資格変更や在留期間更新などの申請を出す時点ではなく、許可された後、在留カードの交付や証印などを受けるタイミングで支払うということです。
そのため、実務上は「いつ申請したか」と「いつ許可・交付されるか」の両方を確認する必要があります。特に在留期限が近い外国人を雇用している企業、特定技能人材を受け入れている企業、登録支援機関は、対象者ごとの在留期限、更新予定時期、申請準備の進捗を早めに整理しておくとよいでしょう。ただし、施行日前申請の扱いには経過措置も関係するため、最終的には政令と入管庁の案内を確認することが重要です。
施行日前に申請した場合はどうなる?経過措置と減免規定
実務上もっとも気になるのは、「施行日前に出した申請の手数料はどうなるのか」という点です。改正法では、手数料引き上げに関する施行日前にされた在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可、再入国許可などの申請について、改正後の新手数料ではなく「なお従前の例による」とする経過措置が置かれています。
つまり、現時点の整理では、施行日前に申請した案件であれば、実際の許可や在留カード交付が施行日後になったとしても、旧手数料が適用される見込みです。入管手数料は原則として申請時ではなく、許可に係る記載・交付・証印の時に納付する仕組みですが、この経過措置により、どの時点の申請かが重要になります。
| 申請のタイミング | 許可・交付のタイミング | 適用される手数料の考え方 |
|---|---|---|
| 施行日前 | 施行日前 | 旧手数料 |
| 施行日前 | 施行日後 | 旧手数料が適用される見込み |
| 施行日後 | 施行日後 | 新手数料の対象となる見込み |
ただし、2026年6月30日時点では、実際の新手数料額も施行日も政令で最終確定する前です。オンライン申請、補正が入った案件、申請取下げ後の再申請など、個別の扱いは今後の政令や出入国在留管理庁の案内で確認する必要があります。企業側も、単に「早く出す」だけでなく、必要書類を整えたうえで期限管理をすることが大切です。
また、今回の改正では、経済的困難その他特別の理由がある者について、政令で定めるところにより手数料を減額または免除できる規定も設けられました。新料金が大きな負担となり得ることを踏まえた仕組みといえますが、対象者、要件、申請方法、必要書類などの具体的な運用はまだ未確定です。
したがって、外国人本人や受入れ企業、登録支援機関は、施行日が公表された段階で、在留期限が近い人、永住申請を検討している人、再入国許可が必要な人を洗い出し、どの申請が経過措置の対象になり得るかを確認しておくとよいでしょう。最終判断は、最新の公表情報と個別事情を踏まえて行う必要があります。
企業・登録支援機関・外国人本人が今確認しておきたいこと
2026年6月30日時点では、改正法は成立・公布済みですが、実際に支払う新手数料額と施行日はまだ政令待ちです。したがって、今の段階で必要なのは「いくら上がるか」を断定することではなく、更新・変更・永住申請が集中する時期を把握し、費用負担と説明体制を先に整えておくことです。
| 対象 | 今確認したいこと |
|---|---|
| 外国人雇用企業 | 在留期間更新、在留資格変更、永住許可を予定している従業員の人数と申請時期を一覧化します。本人負担か会社負担か、会社が補助する場合の範囲、福利厚生として扱うかどうか、年度予算への影響も確認しておきたいところです。 |
| 登録支援機関・行政書士など | 入管に納める手数料と、自社・事務所の報酬は別物です。見積書や案内文では「国に納める手数料」「支援・申請取次等の報酬」を分け、旧料金・新料金の適用関係、施行日前申請の扱いを誤解なく説明できる形にしておく必要があります。 |
| 外国人本人 | 「上限10万円・30万円」という数字だけで不安が広がりやすいため、これは法律上の上限であり、全員が必ず払う金額ではないことを伝えます。報道ベースの永住20万円程度、更新・変更7万5,000円程度なども、政令公布までは未確定です。 |
特に特定技能など、在留期限の管理が日常的に発生する職場では、更新対象者の洗い出しが実務上の第一歩です。申請時ではなく、許可時・交付時に手数料を納める仕組みは基本的に維持される一方、経過措置により、施行日前に申請した案件は許可が施行日後でも従前の手数料が適用される見込みです。
一方で、駆け込み申請を前提に無理なスケジュールを組むのは避けるべきです。在留期限、必要書類、勤務実態、税・社会保険の状況など、申請の中身が整っていることが前提になります。会社側は、対象者ごとの期限管理表を更新し、本人への説明記録も残しておくと安心です。
外国人本人への案内は、多言語またはやさしい日本語で行うことが重要です。「まだ決まっていないこと」「決まっていること」「自分の申請時期に関係すること」を分けて伝えるだけでも、誤解や不安はかなり減らせます。噂やSNS上の情報だけで判断しないよう、社内の相談窓口も明確にしておきましょう。
今後の確認先は、出入国在留管理庁、法務省、官報、パブリックコメント、政令公布情報です。報道は動向を知る手がかりになりますが、実務で案内する際は、最終的に公布された政令と入管庁の公表資料で確認する流れを徹底することが大切です。
まとめ
入管手数料の大幅引き上げを含む改正法は、2026年5月29日に国会で可決・成立し、6月5日に公布されています。つまり、制度改正そのものはすでに動き出しています。ただし、企業や外国人本人が実際に支払う「新料金」は、2026年6月30日時点ではまだ確定していません。
現時点で確定しているのは、法律上の上限額です。上限額とは、政令で定める実際の手数料が超えてはならない金額のことで、全員がその金額を支払うという意味ではありません。
| 手続 | 法律上の新しい上限額 |
|---|---|
| 在留資格変更許可 | 10万円 |
| 在留期間更新許可 | 10万円 |
| 永住許可 | 30万円 |
| 再入国許可等 | 1万円 |
一方で、実際の手数料額と施行日は、政令、つまり法律の委任を受けて内閣が定める命令で決まります。そのため、現段階では「法律で上限は引き上げられたが、最終的な料金表と開始日は未確定」と整理するのが正確です。
報道ベースでは、在留資格変更・在留期間更新の手数料は、許可される在留期間に応じて1万円〜7万5,000円程度、永住許可は20万円程度とする入管庁案が示されています。また、早ければ2026年10月にも実施する方針と報じられています。ただし、これらはあくまで入管庁案・報道情報であり、政令で正式に決まった金額ではありません。
適用開始日は、遅くとも2027年3月31日までの間で政令が指定する日とされています。さらに、施行日前にされた在留資格変更、在留期間更新、永住許可、再入国許可などの申請については、経過措置により従前の手数料が適用される見込みです。許可が施行日後になった場合でも、申請日が施行日前であれば旧手数料となる可能性が高い点は、実務上重要です。
企業や登録支援機関は、今のうちに、誰が申請手数料を負担するのか、更新・変更・永住申請の予定者がいつ申請時期を迎えるのかを確認しておく必要があります。特定技能など在留期限管理が重要な雇用形態では、申請時期の前倒し可否や本人への説明も含め、最新の公表情報を継続して確認しながら準備を進めることが大切です。