はじめに
2026年4月13日、特定技能制度において 史上初の分野全体での新規受入停止 が発生しました。対象は外食業分野。受入見込数(上限)への到達がその理由です。
特定技能は2019年の制度開始以来、急速に在留者数を伸ばしてきましたが、ここに来て「受入上限への到達」という新たなリスクが顕在化しました。外食業はその最初の事例であり、今後ほかの分野でも同様の事態が起こる可能性があります。
本記事では、外食業の停止措置の詳細、特定技能制度における受入上限の仕組み、そして各分野の充足状況を整理します。自社の採用計画を立てるうえで参考にしてください。
出典
・出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和7年12月末現在)」
・農林水産省・出入国在留管理庁「外食業分野における受入れ上限の運用について」(2026年3月27日)
特定技能マーケット、39万人突破の実態
2025年12月末時点の特定技能在留者(1号+2号合計)は 390,296人 となり、前年同期(2024年12月末:約260,000人)から約50%増加しました。制度開始(2019年)時点で示された5年間の受入上限(345,000人)をすでに超え、2026年3月に設定された 2028年度末までの新上限(820,000人) に向けて急速に拡大しています。
※前年同期比の数値は出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」各年公表値より。
特に人気分野では 受入上限への到達 という新たなリスクが顕在化し、外食業はその最初の事例となりました。
特定技能「外食業」 2026年4月13日から新規受入停止
2026年4月13日より、特定技能1号(外食業分野)の新規受入が停止されました。2026年2月末時点の外食業の在留者数が約46,000人(速報値)に達し、2026年5月頃に受入見込数(50,000人)を超えることが見込まれたためです。
特定技能制度開始(2019年)以来、 分野全体での長期的な新規受入停止は初めての措置 です。特定技能1号技能評価試験の予約手続きも再開時期未定で停止しています。
2026年4月13日以降、原則不許可となる申請
- 外食業の特定技能1号 在留資格認定証明書の新規交付申請
- ほかの在留資格からの外食業 特定技能1号への変更申請
- 外食業 特定活動(特定技能1号移行準備)への変更申請
- 外食業の特定技能1号試験の予約手続き(再開めど未定)
引き続き対応可能なケース
| ケース | 内容 |
|---|---|
| 外食業内での転職採用 | すでに外食業分野の特定技能1号として在留している方の転職に伴う申請は通常どおり審査 |
| 技能実習(医療・福祉施設給食製造職種)修了者の移行 | 技能実習(医療・福祉施設給食製造職種)修了者は上限到達後も継続して許可対象 |
| 特定活動(移行準備)の許可を受けている方 | すでに許可を受けている方は受入見込数の範囲内で順次審査 |
| 飲食料品製造業の試験は継続 | 外食業の停止は飲食料品製造業には影響なし。1号・2号試験は予定どおり実施 |
受入上限(見込数)とは何か
特定技能制度では、産業分野ごとに政府が「5年間でどれだけ受け入れるか」を試算・閣議決定し、分野別運用方針に 受入見込数 として記載しています。この数値が事実上の上限として機能します。
受入見込数 = 5年後の人手不足数 −(生産性向上 + 国内人材確保)
政府は「大きな経済情勢の変化がない限り、上限として運用する」と分野別運用方針に明記しています。
現在の分野別運用方針は2026年1月23日に閣議決定されたものが最新版です。外食業の特定技能1号 受入見込数は 50,000人 (2024〜2028年度の5年間)であり、これが受入上限として運用されています。
※出典:農林水産省・出入国在留管理庁「外食業分野における受入れ上限の運用について」(2026年3月27日公表)
上限到達のスケジュール感
外食業の事例では、 上限到達告知(2026年3月27日)から新規受入停止(4月13日)まで約2週間半 という短いリードタイムでした。上限到達リスクのある分野を抱える企業にとっては、 告知が出てから動いても採用候補者の確保は間に合わない ことを意味します。
上限の見直しは原則として5年ごとの分野別運用方針改定のタイミングで行われ、機動的な引き上げ事例はこれまでありません。
16分野の充足状況——次に上限到達リスクがある分野は
出入国在留管理庁が公表した2025年12月末速報値と、2026年1月23日閣議決定の分野別運用方針をもとに、各分野の現状を整理します。
| 分野 | 在留数 | 上限数 | 充足率 |
|---|---|---|---|
| 外食業(停止中) | 43,869人 | 50,000人 | 87.7% |
| 飲食料品製造業 | 93,393人 | 139,000人 | 67.2% |
| 建設 | 49,323人 | 80,000人 | 61.7% |
| 航空 | 2,260人 | 4,400人 | 51.4% |
| 介護 | 67,871人 | 135,000人 | 50.3% |
| 農業 | 37,952人 | 78,000人 | 48.7% |
| 自動車整備 | 4,560人 | 10,000人 | 45.6% |
| 工業製品製造業 | 56,736人 | 173,300人 | 32.7% |
| 造船・舶用工業 | 11,204人 | 36,000人 | 31.1% |
| 漁業 | 4,590人 | 17,000人 | 27.0% |
| ビルクリーニング | 8,395人 | 37,000人 | 22.7% |
| 宿泊 | 1,968人 | 23,000人 | 8.6% |
| 鉄道 | 54人 | 3,800人 | 1.4% |
| 自動車運送業 | 151人 | 24,500人 | 0.6% |
| 木材産業 | 15人 | 5,000人 | 0.3% |
| 林業 | 0人 | 1,000人 | 0% |
| 合計 | 382,341人 | 820,000人 | 46.6% |
※ 特定技能1号のみ、2025年12月末速報値。上限数は令和6年3月29日閣議決定「特定技能の受入れ見込数の再設定」(2024〜2028年度の5年間)に基づく。航空・自動車整備のように上限数自体が小規模な分野は充足率が高く出やすい点に留意。
上限到達リスクが高い分野
特定技能在留者数の全分野合計は 382,341人 (特定技能1号、2025年12月末時点)に達しています。充足率の上位分野は以下のとおりです。
- 飲食料品製造業:充足率67.2% (在留93,393人 / 上限139,000人)—全分野最大の在留数。外食業停止後の転職流入で加速の可能性
- 建設:充足率61.7% (在留49,323人 / 上限80,000人)—技能実習修了者ルートが主力
- 介護:充足率50.3% (在留67,871人 / 上限135,000人)—インドネシア人・ミャンマー人を中心に急増中
外食業に続いて停止リスクが視野に入るのは飲食料品製造業です。外食業からの転職流入が加わると、現在のペースより早く上限に近づく可能性があります。建設も充足率6割を超えており、技能実習修了者の継続的な確保が課題です。介護も急成長分野で、現在の充足率は半数程度ですが、近年の成長率(例:ミャンマー人介護人材は近年で約4倍に拡大)を考えると油断はできません。
外食業の停止が示す、制度の転換点
今回の停止は、特定技能制度においてこれまで「理論上の仕組み」であった受入上限が実際に機能した初めての事例です。
制度開始から7年で在留者数は40万人近くに達し、16分野合計の充足率は46.6%となっています。この速度が維持されれば、飲食料品製造業や建設、介護など複数の分野で見込数の上限に近づく局面が、今後数年以内に訪れる可能性があります。
外食業の事例が示した教訓は2つあります。
1つめは「告知から停止までのリードタイムが短い」こと。 採用計画の見直しは「上限到達ニュースが出てから」では遅く、 平常時から複数の採用ルートを確保しておくことが必要 です。
2つめは「採用ルートの一極集中はリスク」だということ。 外食業は試験ルート97.6%という一極集中型でした。試験合格者の供給と受入が直結するため、上限への到達も急速でした。試験型・実習型・混合型といった分野別の流入ルート特性を理解し、自社に合った採用チャネルを複数持つことが重要です。
採用担当者が今すぐ取るべき行動
外食業の事例を踏まえ、以下のアクションをおすすめします。
- 自社分野の最新充足率を確認する —出入国在留管理庁の公表データで定期チェック
- 既存の特定技能在留者の在留期限と更新スケジュールを棚卸しする —1号5年経過後の出口(2号移行・在留資格「介護」移行など)を計画化
- 技能実習修了者の特定技能移行計画を立てる —実習生を受入れている企業は移行を前提とした育成設計を
- 試験ルートと実習ルートのバックアップを確保する —流入ルートの多様化で上限到達リスクと供給リスクを分散
いろはなができること——上限到達リスクに備える採用戦略を支援
いろはなでは、特定技能をはじめとする外国人採用の各フェーズを、全分野対応でワンストップ支援しています。
人材紹介(いろはなキャリア)
ミャンマー・インドネシアをはじめアジア各国に対応した紹介ネットワーク。国内在留者紹介と現地採用の両軸、特定技能・技能実習修了者の双方に対応し、各分野に適した人材をご提案します。
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特定技能の在留申請・更新・届出から、特定技能2号への移行申請、在留資格「介護」への移行申請まで、行政書士と連携したサポート体制を整えています。
試験対策教育(irohana study)
外国人材がスマートフォンで学習できる試験対策アプリと、専任講師による定期レッスンを提供。特定技能2号の試験対策および介護福祉士の国家試験対策に対応しており、採用した人材の「次のステップ」を企業としてサポートできる体制が整えられます。
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