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特定技能「自動車運送業」とは?制度の基本と評価試験データでみる採用の今

本記事では、2024年3月に新設された特定技能「自動車運送業」を取り上げ、制度の基本と、評価試験の実施状況から見える市場の実態を整理します。これから自動車運送業で外国人採用を検討する企業が、まず押さえておきたいポイントをまとめました。

出典・資料根拠
出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和7年12月末現在)」
一般財団法人日本海事協会(ClassNK)「自動車運送業分野特定技能1号評価試験実施状況」月次報告(2025年8月〜2026年4月)
※「実施国別」は受験者の国籍ではなく、試験を実施した国を指します。
※ 国別集計はPDFからの抽出・集計値であり、月別合計との間に一部誤差が生じる場合があります。

特定技能「自動車運送業」の現状

令和7年12月末時点の特定技能「自動車運送業」の在留者数は 151人。上限24,500人に対して充足率は1%未満(約0.6%)で、全16分野の中で最も少ない段階です。制度が始まって間もないこともあり、採用競争がまだ少ない時期に人材確保の検討を始められる分野です。

項目内容
在留者数(R7年12月末)151人
2024〜28年度 上限24,500人
充足率約0.6%(1%未満)
対象業種トラック・タクシー・バス

他の特定技能分野と大きく異なる2つの要件

① 日本の運転免許が就労の前提条件

特定技能試験に合格しても、日本の運転免許を取得していなければ乗務できません。採用から実際の現場投入まで、免許取得というプロセスが必ず発生します。

業種必要な免許
トラック(貨物)第一種運転免許(普通・準中型・中型・大型)
タクシー・バス(旅客)第二種運転免許

② 企業側にも認定要件がある

「安全性優良事業所(Gマーク)」または「働きやすい職場認証制度」のいずれかの認定を受けていることが、採用企業側の要件として求められます。

評価試験の実施状況——月別の推移(9か月分)

特定技能評価試験は2024年12月に開始されました。以下は2025年8月〜2026年4月(9か月分)の月別集計です。

月別 受験・合格状況

実施月トラック 合格/受験(率)タクシー 合格/受験(率)バス 合格/受験(率)
2025年8月328 / 467人(70.2%)34 / 43人(79.1%)46 / 53人(86.8%)
2025年9月294 / 419人(70.2%)30 / 39人(76.9%)34 / 36人(94.4%)
2025年10月303 / 435人(69.7%)46 / 61人(75.4%)45 / 70人(64.3%)
2025年11月222 / 336人(66.1%)39 / 52人(75.0%)15 / 16人(93.8%)
2025年12月297 / 419人(70.9%)37 / 47人(78.7%)13 / 13人(100.0%)
2026年1月373 / 498人(74.9%)27 / 37人(73.0%)26 / 32人(81.3%)
2026年2月360 / 505人(71.3%)34 / 42人(81.0%)33 / 36人(91.7%)
2026年3月273 / 408人(66.9%)52 / 59人(88.1%)17 / 18人(94.4%)
2026年4月380 / 523人(72.7%)40 / 52人(76.9%)16 / 19人(84.2%)
9か月計2,830 / 4,010人(70.6%)339 / 432人(78.5%)245 / 293人(83.6%)

区分別に合格率の傾向が異なります。トラックは70〜75%前後で推移し、タクシー・バスは8〜9割台と高い水準です。

評価試験 実施国別の状況(9か月合算・概算)

トラック区分

国内(日本)での受験が最多で全体の約52%を占めます。次いでインドネシアが約21%、ミャンマー・ネパールが各6%程度です。合格率はネパール(91.6%)・タイ(91.7%)・ミャンマー(86.0%)が高水準で、ウズベキスタン(40.6%)・スリランカ(60.2%)・フィリピン(65.5%)はやや低めとなっています。

実施国合格者数受験者数合格率受験者割合
日本(国内)1,010人1,439人70.2%51.7%
インドネシア456人582人78.4%20.9%
ミャンマー141人164人86.0%5.9%
ネパール142人155人91.6%5.6%
スリランカ56人93人60.2%3.3%
フィリピン57人87人65.5%3.1%
タイ77人84人91.7%3.0%
カンボジア48人49人98.0%1.8%
インド29人40人72.5%1.4%
ウズベキスタン13人32人40.6%1.1%
モンゴル18人22人81.8%0.8%
ベトナム17人21人81.0%0.8%
バングラデシュ11人14人78.6%0.5%
その他3人3人0.1%

タクシー区分

日本国内での受験が81%超を占め、タクシーは国内での採用が主体です。海外ではタイ・フィリピン・カンボジアが続いています。

実施国合格者数受験者数合格率受験者割合
日本(国内)278人332人83.7%81.4%
タイ19人26人73.1%6.4%
フィリピン3人16人18.8%3.9%
カンボジア10人13人76.9%3.2%
インドネシア4人6人66.7%1.5%
マレーシア5人5人100.0%1.2%
ベトナム3人3人100.0%0.7%
その他6人6人1.7%

バス区分

バスはインドネシアが最多(約37%)で、国内受験(約35%)と拮抗しています。ネパールも約12%と存在感があります。

実施国合格者数受験者数合格率受験者割合
インドネシア55人84人65.5%36.5%
日本(国内)79人81人97.5%35.2%
ネパール25人27人92.6%11.7%
ミャンマー14人14人100.0%6.1%
フィリピン7人7人100.0%3.0%
カンボジア5人5人100.0%2.2%
タイ4人4人100.0%1.7%
その他6人8人3.5%

データから読み取れること

試験の実施状況からは、いくつかの傾向が見えてきます。

国内受験が多いことはトラック・タクシーで共通しており、すでに日本に在留する外国人材が試験に合格して特定技能へ移行する流れが主流です。一方でバスはインドネシアからの受験が多く、現地採用のルートが比較的活用されています。ベトナムは2026年4月から受験が始まっており、今後の参入が期待される国として注目されます。

合格率に着目すると、ネパール・タイ・ミャンマーが高水準で、ウズベキスタン・スリランカ・フィリピンは低め(40〜65%)という傾向があります。受験者数が多い国が必ずしも合格率が高いわけではない点は、採用ターゲット国を選ぶ際の参考情報になります。

なお、試験に合格したとしても、それをもって特定技能の在留資格が自動的に付与されるわけではありません。在留資格認定証明書の交付や在留資格変更の許可が別途必要です。

採用ターゲットとして注目したい国(国外受験の状況)

試験は海外でも実施されており、累積合格者数の多い国は現地採用のパイプラインとして機能しつつあります。9か月間のトラック区分における国外受験の合格者数(概算)を見ると、以下の傾向があります。

実施国累積合格者数(概算)合格率
インドネシア456人78.4%
ネパール142人91.6%
ミャンマー141人86.0%
タイ77人91.7%
フィリピン57人65.5%
スリランカ56人60.2%
カンボジア48人98.0%

インドネシアは累積合格者数が最も多く、現地での試験対策・受験体制が整いつつあることがうかがえます。ネパール・タイ・ミャンマーは受験者数こそ多くないものの、合格率が90%前後と高水準で、試験合格者の質が高い国として注目できます。

これらの国々では今後、特定技能評価試験の合格者が増加していくことが見込まれます。早期に採用ルートを構築しておくことが、人材確保の競争優位につながる可能性があります。

採用を検討する企業が次に確認すべきこと

自動車運送業の特定技能採用では、試験合格後の運転免許の取得(外国免許からの切替を含む)や、評価試験の言語対応など、ほかの分野にはない確認ポイントがあります。採用計画を立てる段階で、これらの要件と自社の受け入れ体制をあわせて整理しておくことが、スムーズな現場投入につながります。

充足率が1%未満という現状は、裏を返せば採用競争がまだ激化していない時期だということです。要件確認と採用ルートの構築を早めに進めておくことが、今後の人材確保の優位性につながります。

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